QUICKコメントチーム=弓ちあき
9月末は権利確定銘柄が400銘柄を超え、3月に次いで2番目に多い。QUICK特設サイトで株主優待を検索すると9月中の権利確定銘柄のうち、「ギフト券」だけでも200銘柄超がヒットする。これらの銘柄の優待利回りを金額換算して単純平均すると、配当利回りに対する上乗せは11%強にのぼる。エスクリ(2196)は披露宴を予約した場合に30万円分のウェディングアイテムがもらえるし、建築工事代金や分譲マンションの購入代金のキャッシュバックなどが受けられる大東建託(1878)なども優待利回りは高い。ただし、これらの銘柄は実際に結婚式や家の購入予定があったりすれば利用価値は高くなりそうだが、そう使用頻度が高いものでもない。
一方、クオカードなどは現金と同じように考えやすい。ショーエイコーポレーション(9385)は9月末で1000円分のクオカードがもらえ、保有期間などの縛りもない。逆日歩が既に発生しているためコスト面では要注意だが、優待利回りだけで2.65%で配当も加えれば5%超になる。優待回数を今年から増やし、金額も増額したEストアー(4304)もクオカードでの優待で優待と配当の利回りは5%を超える。
このように9月は対象銘柄が多く優待内容もバラエティに富んでいるが、株価の動きからも注目したいのは鉄道銘柄だ。
9月末の権利確定銘柄のうち、今月に入って52週高値を更新した18銘柄の中に京成電鉄(9009)など鉄道銘柄が顔を出している。鉄道は株式相場の地合いが不安定な中でディフェンシブ性を兼ねる点が強みになりやすい。京成はオリエンタルランド(4661)の株価上昇で含み益への期待が広がるほか、約27年ぶりの高値水準にある名古屋鉄道(9048)はリニア新幹線の導入を視野に進む再開発への期待を織り込む動きが活発化している。
鉄道各社は優待では株主乗車券や系列ホテルの宿泊割引などを実施していることが多い。優待利回りで換算すると平均で7.69%、配当と優待を合算した利回りの平均は8.66%。ちなみに京浜急行電鉄(9006)が最も高い。また大株主は恒常的にメリットを受けられる優待となっている場合もある。京急では1万5000株以上を保有する株主は、定期券のように使える電車全線パスを選ぶことも可能。必要な投資額に換算すると3000万円強と決して小さい投資額ではないが、沿線などに住んで車の運転をやめた高齢者など、電車利用が多い人には魅力的と言えそうだ。ただし鉄道銘柄に投資する場合はすでに逆日歩がついている銘柄が多いため、つなぎ売りでのコスト増には注意したい。
ちなみに今回取り上げてないJR東日本、西日本、東海、九州の各社も優待割引券などを配布している。
🚋「株主コミュニティ制度」を活用、非上場でも優待
また、鉄道など地元の身近なサービスを探すには、上場企業だけでなく非上場企業でも優待を実施しているのでチェックしてみるのもいいかもしれない。日本証券業協会が手掛ける非上場株式の売買ができる「株主コミュニティ制度」では野村証券やみずほ証券、地場証券など6社が参加。11日公表資料によると、2日~6日に金額ベースで最も取り扱いが多かったのは今村証券の北陸鉄道株式会社(金沢市)の株式。同社は石川県内を中心にバスや鉄道事業を手掛けており、株主優待では毎年3月末の株主を対象に138株以上の保有で特急バスの乗車券や旅行割引券などを配布している。ちなみに我が佐賀県を代表する有田焼の深川製磁(佐賀県有田町)がグリーンシート銘柄から移行しており、自社商品の優待割引券がもらえる。
株主コミュニティ制度での売買は、2015年の開始時は約定株数が年間で3万株強、約定代金が7114万円だったのが18年は198万株、5億円近くに増えた。上場株に比べればまだまだ流動性リスクも高く、また取り扱いのある証券会社に口座を開設する必要もあるが、特色ある優待もあり、地域応援を兼ねて身近な企業を探してみるのも面白いかもしれない。
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