2017年4~12月期決算の発表が本格化しはじめた。第一弾のピークとなる1月31日には365社、2月9日には最多の494社が発表を予定する。株価上昇のけん引役となってきた業績改善期待。足元の日経平均株価は高値警戒感から伸び悩むが、決算でさらなる成長への確度が投資家の間で高まれば、改めて株式市場に資金を呼び込む可能性がある。
決算発表期間に、特に株価材料として注目を集めるのが業績予想の修正だ。企業の業績予想が従来のものより上振れしたり下振れしたりすれば、株の買い・売り材料となる。キャピタルゲイン(値上がり益)を得るには事前に兆候をつかんでおくことが重要になるが、一つのヒントになるのが通期計画に対する達成度合いを表す進捗率だ。
しかし業種や業態によっては上期に売上高が大きく増えたり、反対に下期に偏る傾向がある。そのため経過した期間に比べて進捗率が高い、低いというだけでその企業の好不調を判断するのは、その企業の実力を見誤る可能性がある。
QUICK端末のナレッジ特設サイト「進捗率ダッシュボード」では、企業の売上高の進捗の偏り具合を7種に分類。第1四半期に飛ばす「大逃げタイプ」や第4四半期に挽回する「慢性的出遅れ追い上げ型」などタイプ別に検索できる。
例えば上期偏重の「先行タイプ」。3月期決算企業では山一電機(6941)やTOWA(6315)が該当する。
先行タイプ
今期の半分を終えた2017年4~9月期時点の進捗率をみると、確かに両社とも56.34%、50.99%と通期計画の5割を超えているが、先行タイプなので割り引いて評価する必要がある。その際にものさしになるのが過去の「平均売上高進捗率」だ。山一電機の場合、平均は51.47%で今回の進捗率の方が高い。一方のTOWAの平均は53.25%で、今回は若干下回ってしまっている。これまでの業績進捗の習性を踏まえると、山一電機により上振れ期待が膨らむ。
逆に下期偏重の「期末追い込み型」では、明電舎(6508)やモリタホールディングス(6455)が当てはまる。明電舎は4~12月期時点の4割に満たないが、過去平均は上回って推移している。
期末追い込み型
もちろん、下期に例年にない特殊要因が発生する企業もあるだろうし、必ずしも見込み通りになるとは限らない。投資家の関心がもともと高い銘柄であれば、好調な進捗ぶりをすでに織り込んでしまっている場合もあるだろう。それでも、今後の業績の伸びしろを測るうえで、企業の傾向に合わせた進捗率チェックは有用な手段と言える。
【QUICKナレッジコンテンツグループ・内山佑輔】