2019年の日経平均株価は、米中の摩擦などが引き続き重荷になり、18年の水準を下回るレンジで推移する--。QUICK月次調査がまとめた市場参加者155人の予想は、年間高値の平均が2万3160円、安値の平均が1万8742円。18年の高値(2万4270円、10月)と安値(1万9155円、12月)にいずれも届かないという弱めの集計結果になった。
調査期間は1月8~10日。重要なリスク要因を3つまで挙げてもらったところ、多い順に「米国の政治・経済の混乱」「中国経済・金融の混乱」「米中貿易摩擦」となった。市場関係者の懸念は米中摩擦をめぐる両国の政治的・経済的な混乱に集中している。
東洋証券の檜和田浩昭投資調査部部長の予想は高値2万4000円、安値1万8500円で全体の最頻値に近い。「足元の米マクロ統計の強弱がリスク要因となりそう。中国も景気の減速懸念が指摘されているが、何かが悪いとなれば政府が前倒しで政策を発動し、景気の底割れを回避するだろう」とみている。
最高値の予想で最も強気なのは3万円、最安値の予想で最も弱気なのは1万2000円だった。
実際、景気や企業業績への期待はしぼみ始めている。今後6カ月の最も注目すべき株価変動要因を聞く設問では回答者の47%が「景気・企業業績」と答えた。株価へのプラスマイナスの影響度合いを示す変動要因指数(0に近づくほど株安懸念が強く、50が中立、100に近づくほど株高期待が高い)でみると、48.9と16年6月以来の低水準となった。昨年の秋に指数は70に近づいていたが、短期間で相場の雰囲気が悪くなっている。
QUICKは12月の債券担当者への月次調査でも今年の相場見通しを尋ねている。そちらの予想は、高値予想が2万2827円、安値が1万8229円と、今回の株式調査とだいたい同じだった。一方で債券担当者は債券市場のリスク要因として、「米国の政治・経済の混乱」に次いで「日本の金融政策の変更」「米国の金融政策の変更」を挙げており、中央銀行の動きに一段と敏感になっている様子がうかがえる。
(QUICKナレッジ開発本部 永島奏子)
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。「QUICK月次調査<株式>」はヒストリカルデータも含めて、QUICKの情報端末からダウンロードできます。