東京証券取引所は2022年4月、現行の東証1部など4市場を廃止し、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場体制に移行する。このほど、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂案も明らかとなった。プライム市場の上場企業には、高度化されたCGコードへの適切なコンプライ・オア・エクスプレイン(順守か説明か)が求められる。
市場再編と改訂されたCGコードへの対応は、プライム上場企業の企業価値を向上させるか。5月のQUICK月次調査<株式>で市場関係者に質問したところ、企業価値が「向上する」との回答は22%にとどまった。63%の回答者は「多くの企業は形式的要件を満たすだけにとどまり、企業価値は実質的に変わらない」とみている。
「プライム上場企業に要求する上場維持基準は引き上げられたが、厳しい基準ともいえず、形式的要件を満たすにとどまり、本気の改革が行われる企業はマイノリティになる」(投信投資顧問)との見方が示すように、市場参加者は改革の効果に対して懐疑的な見方だ。
市場再編に伴い、TOPIXの構成銘柄も見直す。22年10月以降、市場区分にかかわらず、流通時価総額100億円未満の銘柄は段階的に除外されていく。TOPIXの見直しについては賛否が拮抗した。47%の回答者が「株式の流動性が重視され好ましい」と答えた。「TOPIXが市場区分から切り離されるのは良い」(証券会社)という。一方で45%は「時価総額基準が緩すぎ、実質的な効果は限定的」と回答した。
調査で毎月聞いている日経平均株価の終値予想は、4月調査時点と比べて全体的に引き下げられた。月末の終値予想は28430円と10か月ぶりに下方へシフトした。足元で日経平均株価は心理的な節目の28000円を下回っている。
調査は国内機関投資家の運用担当者など211人を対象に実施し、122人が回答した。調査期間は5月11日~13日。