市場関係者の日本株見通しが強気に傾いている。2月のQUICK月次調査<株式>によると、2月末の日経平均株価の予想は平均で2万8190円となった。月末の予想としては1994年4月の調査開始以降の最高値を更新し、7カ月連続の上昇となった。新型コロナのワクチン接種や米国の追加経済対策への期待が高まっている。
調査したのは2月2日から4日。4日時点の日経平均は終値で2万8341円だった。週明けの2月8日には日経平均は609円上昇し2万9388円と30年6カ月ぶりに2万9000円台を回復するなど、市場の強気の見方を追い越す形で株高が進んでいる。
最も注目する株価の変動要因は「景気・企業業績」が52%、「金利動向」と「海外株式・債券市場」がそれぞれ15%で続いた。「コロナワクチン接種の進展と行動の正常化が重要」や「米財政拡大期待は日本株にも強い追い風」(投信投資顧問)など、様々な材料が株高につながるとの声が多かった。一方で期待先行による上昇で、急ピッチによる株高への警戒感から「目先は調整色が強くなる」(銀行)との声もあった。
東証と金融庁は今春にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂を予定している。改訂案では、取締役会の機能発揮や中核人材の多様性の確保に関する施策が提言された。調査で効果的と思う施策を聞いたところ、「独立性の高い指名委員会(法定・任意)の設置と機能向上」が最多の40%で、「独立社外取締役を3分の1以上選任」が32%で続いた。
今後の議論で最も重要視すべきテーマは、事業ポートフォリオや政策保有株の見直しなど「資本の効率性」が最多の44%を占めた。「グループガバナンスの強化」と「中長期的な持続可能性についての配慮」がそれぞれ23%だった。「CGコードよりもESG的な流れの方がアセットオーナー(委託者としての機関投資家)を経由して大きな問題なのだと思う」(証券会社)や「採用時は横一線、などといった妙な平等意識の改革から開始しないと、プロ経営者が育たない」(銀行)との指摘があった。
調査は国内機関投資家の運用担当者など214人を対象に実施し130人が回答した。調査期間は2月2~4日。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。