QUICK資産運用研究所=西本ゆき、高瀬浩
三井住友DSアセットマネジメントは個人投資家に投資信託への興味を持ってもらうための入り口として、新たな試みを始めた。投資対象の不動産物件に親しみを感じてもらうように導入した「VR(仮想現実)リートツアー」だ。
■VRで投資物件を見学
同社が運用する「アジア好利回りリート・ファンド」(79312119)は、シンガポールの市場に上場する不動産投資信託(REIT)を全体の半分程度組み入れているが、個人投資家がシンガポールのオフィスビルなどを訪れるのは難しい。そもそも自由に出入りできない物件もある。VRを使えば倉庫や会員制バーも自由に見学できる。
VR用のゴーグルをつけて約6分間のツアーに参加すると、物件を見上げて大きさを体感したり、物件周辺の海辺に足を伸ばしたりできる。360度の視野で、物件の内部や周辺を実際に歩き回っているような体験が可能だ。
■松井証券セミナーで参加者の大半がVR体験
三井住友DSは9月から販売会社が開く個人投資家向けセミナーでVRリートツアーを活用し始めた。参加者からは「VRを体験したくてセミナーに参加した」という声が聞かれ、投信購入につながった例もあるという。
投資初心者を対象とした資産形成セミナーを毎月開いている松井証券は、10月16日のプログラムに三井住友DSのVRリートツアーを組み込んだ。セミナーには約50人が参加し、その大半がVRを体験した。
VRリートツアーは旅行仕立てのエンターテイメント性を盛り込み、投資家の関心を引く内容になっている。投信を購入する際はリスクやコストなどを確認する必要があるが、運用の方針や実態への理解を深めるうえで、VR体験は「百聞は一見にしかず」の効果が期待できそうだ。