QUICK編集チーム
企業の景況感がもたついている。QUICKがこのほど発表した12月の企業短期経済観測調査(QUICK短観)で製造業の業況判断指数(DI)はプラス2と前月から2ポイント改善した一方、非製造業はプラス19で前月比5ポイントの悪化となった。製造業はアベノミクス開始当初の2013年4月(プラス4)並みの低水準にあるほか、相対的に堅調だった非製造業も勢いを欠いており、ほぼ5年ぶりにプラス20を割り込んだ。長引く米中貿易戦争に加えて10月の消費増税の影響が出始めた可能性があり、日本企業は「内憂外患」ともいうべき状況が懸念される。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いて算出する。製造業のうち、素材業種が前月比3ポイント改善のプラス5、加工業種は同2ポイント改善のプラス1だった。市場関係者の間では製造業の業況は全般的に下げ止まってきたとの認識が増えている。
これに対して非製造業はプラス19で、これは2014年12月(プラス19)以来の悪い数字。当時は、5%から8%への消費増税後の消費の回復が遅れたうえに天候不順に見舞われた影響で、直前に発表された14年7~9月期のGDPが2四半期連続のマイナス成長になるなど、日本経済の雰囲気がかなり悪かった時期だ。
注目すべきは、QUICK短観の数字が今ひとつな半面、日経平均株価が上昇傾向にある点だ。グラフを見ると、DIと株価が久々に逆相関の動きとなっていることがわかる。超緩和的な金融政策が続いているのに加え、事業規模26兆円にのぼるとされる国の経済対策による下支え効果を株式市場が先回りして織り込んできた面があるとみられる。
QUICK短観は上場企業を対象に毎月実施している。今回の回答期間は11月20日~12月1日で、310社(金融機関を含む)が回答した。