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米株投資、有望テーマを複数設定しリスク分散 野村AMの中山氏

日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一、井口耕佑

史上高値圏での推移が続く米国株相場。積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)の普及などを背景に、長期の視点で米国株を組み入れた投資信託を保有する個人投資家も多い。運用担当者が銘柄を選択するうえで心がけているポイントは何だろうか。野村アセットマネジメントで世界株の運用を担当する中山貴裕シニアインベストメントオフィサーに聞いた。

野村アセットマネジメントの中山氏

「自分のお金で」「長く持てる」投信に

――担当する「未来トレンド発見ファンド」は「マルチテーマ戦略」を掲げます。聞き慣れない言葉ですが、どんな運用スタンスなのでしょうか。

「米株を含めた世界のグロース株を運用対象としているが、対象銘柄は万単位でとてつもなく多い。国内なら対象が400~500銘柄ほどなのですべての会社を調べることができるが、世界を相手にするならそうはいかない。まず有望そうなテーマを決め、テーマに沿った代表的な銘柄を見つけて『芋づる式』に競合や部品の納入先を調べる」

「投信の立ち上げに際しては『自分の金で買いたい』『長く持てる』商品になることを心がけた。長期保有ならテーマが1つでは厳しい。どんなに良いテーマでもいつかは終わる。グロース株はボラティリティー(変動)が大きく、固執し続けるとはっきりいって心臓に悪い。複数のテーマを機動的に入れ替えられるようにしている」

「ウォーレン政権」のリスクは意識

――足元の運用方針は。

「世界の株価が米中摩擦に一喜一憂するなか、10のテーマで意図的に保有銘柄の特性を分散させている。IT(情報技術)関連などの高いボラティリティーで高成長のものに投資する一方、アウトソーシング関連など成長が緩やかなものを組み入れている」

「米中に関しては関税第1弾、第2弾と進んでいる間は関係悪化を見込んでいたが、今は(部分合意に向けた動きなどから)これ以上悪くならないとみている。ただ、交渉が合意に達するかどうかは結局のところ理詰めではわからない」

「先回り的な投資配分の変更はしない。相場の流れに乗る順張り投資が有効な米株は相場が上がり始めてからでも間に合う」

――2020年秋には米大統領選を控えます。

「大手IT企業の解体などを主張する民主党のウォーレン氏が勝利を収めたときの株安リスクはもちろん意識している。ウォーレン政権誕生時に上がりそうな銘柄を(現時点では)想定できない」

「前回16年の米大統領選では『トランプ氏が勝ったらどんな銘柄が上がるか』を考えていた。そしてトランプ氏が勝った直後にはポートフォリオの25%を動かした。例えば、トランプ氏は減税やインフラ投資を掲げていたので、中低所得者の減税メリットの恩恵を受ける外食のダーデン・レストランツ、建設・土木のジェイコブズエンジニアリングへの保有を増やした」

香港の保険、南アのメディア関連にも注目

――これからの注目テーマは何でしょうか。

「『シェリアングエコノミー』は目を付けた当初はウーバーテクノロジーズも上場しておらず、対象とする会社が少なすぎた。今はバリュエーションが高過ぎる」

「昨年は『人口ボーナス』や『教育』といったテーマを入れ、足元では香港の保険会社や南アフリカのメディア関連企業にも注目している。これまではドル高局面で新興国には投資しにくかったものの、所得の伸びを考えたら無視できなくなっている」

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。


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