QUICKコメントチーム=大野弘貴、 松下隆介
スウェーデン中央銀行のリクスバンクは19日、政策金利のレポ金利をマイナス0.25%から0%に引き上げると発表した。2020年1月8日から適用される。レポ金利は15年2月に0%からマイナス0.1%に引き下げられていたが、今回は市場の予想通り約4年10カ月ぶりにマイナス圏を脱した。
リクスバンクは発表文で「インフレ率は17年に入ってから2%の目標に近づいており、今後も目標に近づくための条件は整っていると評価している。10月の金融政策決定会合以降の動きは概ね予想通りだった。このため、10月時点の評価に基づき、レポ金利の引き上げを決定した」としている。
今後、レポ金利は21年まで0%で推移するとの見方を示す一方、「経済とインフレの見通しが変化した場合、金融政策を調整する必要があるかもしれない」と指摘。景気が予想よりも弱くなれば「再びレポ金利を引き下げ、金融政策をより積極的なものにするための措置を講じることができる」と強調した。
JPモルガンは19日付リポートで「今回のリクスバンクの利上げは、世界的な不確実性を受けて多くの中央銀行が緩和したのと対照的だ」と指摘。リクスバンクがマイナス金利の副作用による悪影響に言及したことに触れ、「マイナス金利を脱する動きが今後、グローバルに展開されるか期待される」との見方を示した。ゴールドマン・サックスは22年後半までレポ金利が0%で据え置かれると予想。リクスバンクがレポ金利引き下げの可能性に言及した一方でマイナス金利の回避を望むと主張したことを踏まえ、「利下げのハードルは高い」との見方を示した。
翻って日銀。19日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決めたが、UBS証券は同日のリポートで「日銀が春にマイナス金利を深掘りする」との見方を改めて強調した。2020年前半の米経済の急減速と米連邦準備理事会(FRB)による利下げを想定し、円高への対応策として3、4月のいずれかに政策金利をマイナス0.3%に引き下げるとみている。
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