日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一
個人投資家が保有している投資信託を決まった割合で取り崩していくサービスが登場し、注目を集めている。ありがとう投信が17日から毎年決まった比率で、運用資産を換金するサービスを始めたほか、楽天証券は29日から毎月運用資産の一定比率で受け取れるようにする。「人生100年時代」を見据えいかに長期で上手に運用成果を受け取るかという視点も重要になっており、受け取り方の投資家の選択肢が広がっている。
投信の取り崩しサービスはこれまでも存在したが、定額によるものだった。定額は運用状況が悪化すれば資産が想定よりも早く底を付く可能性がある。定率の場合、受取額に変動はあるものの、資産をより長く運用できる。
楽天証券は当初、売却方式について1%以上0.1%単位を予定していたが、個人投資家の声を受け0.1%以上0.1%単位に変更した。資産を少しずつ取り崩しながら、運用資産を少しでも成長させたいとの潜在的なニーズがあることがうかがえる。
「投信を取り崩す」と聞くと、元本を取り崩して分配する仕組みが問題視された「毎月分配型投信」を思い浮かべる人も多いかもしれない。同投信の残高はピークから減少しているが、依然として需要は強い。11月の資金流入上位投信の顔ぶれを見ても、毎月分配型が並ぶ。
定期的な現金収入がシニア層をひき付けているとみられるが、信託報酬が割高だったり、運用内容が複雑だったりする場合がある。取り崩しサービスは毎月分配型投信と異なり、受け取るおカネの額や比率を自分で決められる。投信ブロガーの水瀬ケンイチ氏は自身のブログで「運用会社が勝手に月○○円分配と決めつけて分配してしまう毎月分配型投信は、投資家がどれだけ取り崩すかを決められる『自動取り崩しサービス』より機能的に劣る」と指摘している。
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