QUICK Market Eyes=山口正仁、片平正二
■売り上げ目標が達成できない…
米アップルは17日、業績見通しで開示していた第2四半期(20年1~3月期)の売上高見込みが主に2つの理由で達成できない見通しであると発表した。世界的にiPhoneの供給が滞っていること、中国において販売店が営業休止あるいは営業時間を短縮しておりiPhoneの販売が影響を受けていること、を要因に挙げている。
アップルは四半期の売上高予想で630億~670億ドルを掲げていた。発表資料では、中国での業務が再開し始めているが、想定よりもペースが遅いとしており、事業環境の厳しさは東京市場でも電子部品株などに影を落としそうだ。
■「アップルの警告はスタグフレーションの側面を表す」
アリアンツの経済アドバイザーを務める著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は13日にツイッターで「アップルの業績に関する警告は、新型コロナウイルスによってスタグフレーションが起こる重要な側面を表している。世界経済に対する需要と供給の鈍化という、両方のショックだ。アップルのケースは中国での需要鈍化と、他の場所で販売する上での供給不測に置き換えられる」とつぶやいた。アップルが17日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、20年1~3月期の売上高見通しが未達となる可能性があると発表したことを受け、今後のマクロ経済への影響に関心を高めているようだ。
▼スタグフレーションとは
景気が停滞しているにもかかわらず、インフレーションが続くこと。不況(Stagnation)と インフレーション(Inflation)の合成語。 通常、景気が停滞すると、消費者の需要が落ち込み、物価は落ち着くといわれているが、1970年代、第一次石油ショック後、主要先進国にて金融引き締め政策をとった際、景気が沈静化しても、物価の状況には変化が生じないケースがみられた。(「金融用語集」より)
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