日経QUICKニュース(NQN)=神宮佳江
東京市場で金先物相場が連日、過去最高値を更新している。18日には中心限月の12月物が1グラム5595円まで買われた。新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大で世界経済への不透明感が増すなか、安全資産としての金の存在感が増している。金利のつかない金だが、各国の低金利政策もあり高値を維持し、さらなる上昇が見込まれる。市場関係者に今後の見通しについて聞いた。
■豊商事の大湖一樹・チーフアナリスト
新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大の影響で「低リスク資産」とされる円は買われた。ただ今以上の水準が想定されたものの、円高はそこまで進まなかった。円建てで取引される東京金は、現在の1ドル=109円台後半なら割安感があり買いやすい水準にあるのではないか。最高値をつけたことで勢いもある。新型肺炎の影響などで企業業績が悪化するなか、安全資産として今後も買いは続くだろう。半年程度でみれば1グラム6000円くらいまで上がる可能性はある。
■日産証券の菊川弘之・主席アナリスト
新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大による実体経済への影響に加え、今年の米大統領選による不確実性の高まりなどで安全資産としての金は買いが続きそうだ。世界的な低金利の状況下にあることも、金利のつかない金への需要は高い。14日時点の清算値で1トロイオンス1586.4ドルのニューヨークの先物相場で、今後1トロイオンス1600ドル(現在の為替レートで、1グラム5650円程度)を超えてくれば、さらに買いが加速していくだろう。今年中には1700ドルを達成することも考えられる。
■岡地の田栗満・貴金属アナリスト
世界経済減速への懸念が強まる中、米国の金融政策は当面利下げ方向しか考えられない。低金利政策下では金の投資妙味は崩れず、金を売る地合いにない。今後、劇的に投資環境が変わらない限り当面、金の買い基調は続きそうだ。ただニューヨークの先物相場で1トロイオンス1600ドルをつければ達成感から一時的に調整売りも出るだろう。
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