日経QUICKニュース(NQN)=菊池 亜矢
日銀が事務局を務める日本円金利指標に関する検討委員会は26日、日本円翌日物金利スワップ(OIS)をベースとするターム物リスク・フリー・レート(RFR)金利参考値の算出・公表主体に金融情報サービス会社のQUICKを選出したと発表した。
ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の恒久的な公表停止が2021年末にも見込まれている。その前に、新たな金利指標の構築に向けた動きがスタート地点に着いた。
■新指標構築へ段階的対応
検討委員会は19年10月、ターム物RFR金利(スワップ)参考値の算出・公表主体を募集すると公表していた。検討委員会では、ターム物RFR金利を契約上で参照するのを前提としない参考値を算出・公表する「フェーズ1」と、円LIBORに代替しうる金利指標の1つとして契約で参照することを前提とした確定値を算出・公表する「フェーズ2」に分け、段階的に対応を進めるのが適当だとの見解を示していた。今回フェーズ1に選出されたQUICKが、フェーズ2の確定値の算出・公表も進めていくものとみられる。
■参考値は今春めど
今後は、集めたデータの抽出時間帯や抽出方法、「外れ値」除外の基準などを検討しつつ、金利指標の算出基準の詳細を固めていく。春ごろをメドに参考値の公表を始め、遅くとも21年半ばまでにはフェーズ2である確定値の算出と公表を始める予定だ。参考値の公表開始時期については日本銀行のホームページで知らせるという。
フェーズ2の開始は可能な限り前倒しを目指すとしている。指標の頑健性の観点からはOIS取引量増加による流動性の向上が重要となってくる。
■市中協議ではターム物RFR金利に最大の支持
検討委員会による市中協議の対象となる契約金額は、14年時点で円LIBORの貸出が143兆円、債券は3兆円にのぼる。検討委員会はこれまで円LIBORの代替金利指標について、(1)翌日物金利の日次複利(前決め)、(2)翌日物金利の日次複利(後決め)、(3)ターム物RFR金利(スワップ)、(4)ターム物RFR金利(先物)、(5)東京銀行間取引金利(TIBOR)の5つの選択肢を提示済みだ。市中協議の結果は、貸し出し、債券ともに(3)と(4)のターム物RFR金利が最大の支持を集めた。(4)の金利先物は現在取引停止中で、再開メドは未定とあって、新たなリスクフリーレートの早期構築が重要性を増している。
<参考>
ターム物リスク・フリー・レートの参考値の算出・公表主体の決定等について [PDF] (日本円金利指標に関する検討委員会 公表資料)
QUICK LIBOR代替新指標の参考値を算出 (プレスリリース)