QUICK Market Eyes=大野弘貴、川口究
16日、日銀は前倒しで開催した金融政策決定会合で保有残高が年約6兆円に相当するペースで買い入れていた上場投資信託(ETF)を、年約12兆円増に増額するなどの追加の金融緩和策を決めた。これまでの2倍の金額を株式市場に投入することになるが、市場では様々な見方が出ている。
■株価押し上げに失敗した理由…
JPモルガン証券は16日付リポートで、今回の日銀の決定が株式市場のポジティブ反応を引き出すことに失敗した背景として、「(1)利下げを見送ったことで政策を一部温存したと受け止められ、総動員ではない点が嫌気された、(2)日銀のETF購入は、株式市場をある程度下支えする効果はあっても、株価水準を押し上げる作用は限定的であることが見透かされた、(3)“コロナ・ショック”に端を発する実体経済の悪化懸念は、金融政策では払拭できないとの見方が支配的であり、市場の焦点は財政政策に移っている」といった要因が考えられるとの見方を示した。世界的な株価の下落基調に歯止めをかけることが出来るとすれば「主要国が軒並み大規模な財政拡大を打ち出すことしかない」とも指摘した。
一方で、年間12兆円を上限とするETF買い入れは巨額であり、個別銘柄の株価形成には相応のインパクトが想定されるとも指摘し、「TOPIX構成銘柄で流動性の低いものにプラス・インパクトが発生しやすい」との見方を示した。
■個別銘柄によっては価格インパクトが大きい
大和証券は17日付リポートで、アベノミクス相場初期の2013年の1年間に外国人が買い越した現物株の金額の約15兆円と比較しても、年12兆円という金額は大きく、「日本株の下支え要因として機能するだろう」との見解を示した。また、「買入ペースが2倍に拡大したことで、日銀ETF買入の株価インパクトがこれまで以上に顕著に表れる可能性があり注目したい」と指摘し、日銀ETF買入による株価インパクトが大きいと考えられる銘柄を挙げた。
株価インパクトの大きい企業は、過去1年間の売買代金の1日当たり平均金額に対する日銀の1日のETF買入によって生じる投資額の比率が大きい企業とした。
▶日銀によるETF買い入れの価格インパクトが大きい銘柄
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