日経QUICKニュース(NQN)=矢内純一
新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の混乱で、資産を分散させても運用成績の悪化を避けるのが難しくなっている。株式や債券、不動産投資信託(REIT)などに分散投資するバランス型の投資信託でも基準価額が下落している。運用リスクを避ける局面でこれまで投資資金の受け皿となってきた債券の値下がりは想定外の事態となっている。
■大荒れ相場に抗いきれなかったバランス型
「日本の債券市場にも『キャッシュ化』の波が押し寄せ、『日本債券』も下落に転じたことで、分散効果が低下しました」--。東京海上アセットマネジメントは24日に公表した「円資産バランスファンド(愛称:円奏会)」の資料で、運用状況をこう振り返った。
同商品は、2019年に毎月決算型と年1回決算型合わせ、3800億円以上の資金が流入した人気商品だ。運用資産の7割を値動きが安定している「国内債券」で運用し、それ以外の「国内株式」や「国内REIT」が値下がりしても、運用成績の悪化を抑えてきた。
ただ、足元では株式やREITだけでなく、国内債券にも売りが目立ち、3月の基準価額(毎月決算型)は8%以上下落した。このまま終われば、12年11月の設定以降、月間では最大の下落率となる。

※「円奏会」の基準価額は下落基調に転じた
日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド」も19年に、5000億円以上の資金が入った人気のあるバランス型投信だ。隔月分配型の3月の分配金は81円(税引き前、1万口当たり)と、1月から36%減らした。決算日前営業日の基準価額の1%を分配金と定めており、1月以降の運用環境の悪化が響いた形となる。
■逆相関の戻り待ち
大手運用会社のバランス投信担当者は「相場の見通しは持たず、(株価が下がるときに債券価格が上がる)『逆相関性』が戻ることを期待するだけだ」と話す。各国が大規模な金融緩和や財政政策を打ち出した後も、金融市場の動揺はおさまっていない。お金の動き方が根本的に変わるようなら、資産運用の常識も見つめ直す必要がある。
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