QUICK Money World=小山正博
少人数私募債の発行支援事業を手がけるフィンテックベンチャーのSiiibo(シーボ、東京・中央)は、同事業の拡大に向けて約2億2000万円を調達する。資金は、私募債発行・購入円滑化のためのWeb情報プラットフォーム構築などに振り向け、事業の本格開始に弾みをつける。
シーボは少人数私募債で資金調達する企業向けに、発行手続きや商品設計の支援を行っている。今回、Web上で私募社債の発行・購入が可能なプラットフォームなど新規サービスの開発や、開発人員の拡充を目的に、シリーズAラウンド資金調達として第三者割当増資を実施。割当先はエンジェル投資家の有安伸宏氏や、ベンチャーキャピタルのAGキャピタル(東京・港)、起業家支援の千葉道場(同・渋谷)が設立した千葉道場ファンド、インターネット広告代理店のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(同)、ベンチャーキャピタルのドーガン・ベータ(福岡市)、そのほかエンジェル投資家などで、今回の調達によりシーボの累計調達額は約3億円となる。
少人数私募債は勧誘する投資家を50名未満に限定した社債。社債管理者の設定や有価証券報告書の作成が不要で、発行コストも抑えられるため、資金調達の多角化を目指す企業などにとって新たな手段になりうるという。シーボは2019年1月に設立。私募債発行のファイナンシャル・アドバイザリー業務などを手がけてきた。今回の第三者割当増資も同事業の加速に向けたものと位置付ける。
私募債は縁故債とも呼ばれ、現状では経営者が親族や取引先を勧誘し発行するケースが多いという。シーボではプラットフォームが関係構築のきっかけとなり資金調達につながるという私募債の新たな在り方を掲げる。プラットフォーム上には調達資金の使途に加え、会社情報や財務面などの信用情報も掲載可能にし、透明性を担保。企業と投資家との相性を数値化するなどAIを用いた取り組みも進める。
出資に際して有安氏はシーボの取り組みを「野心的」と評価。また、AGキャピタルの投資管理部長である羽生広氏は企業の資金調達や投資家のポートフォリオ見直しが社会課題となる中での私募債プラットフォーム構築に期待を寄せた。千葉道場ファンドのジェネラルパートナーである千葉功太郎氏は起業家・メンターによる支援も通じてシーボの成長に貢献していく考えを表明、ドーガン・ベータのパートナーである渡辺麗斗氏は、シーボと刺激を与え合いながら新たな直接金融創出を目指すとコメントした。
シーボの代表取締役である小村和輝氏は昨今の不確実性の高い市場環境において、アセットクラスの分散と資金調達先の多角化などに貢献できるよう、私募の仕組みを活用した社債市場の拡大を目指し、事業に取り組むとしている。
![左からシーボのCTO松澤有氏、代表取締役小村和輝氏、COO福井思佳氏](https://qmwstorage01.blob.core.windows.net/labomediacollection/sites/5/2020/03/Siiibo_PressRelease_202003_Photo.jpg)
左からシーボのCTO松澤有氏、代表取締役小村和輝氏、COO福井思佳氏