QUICK資産運用研究所=西本ゆき
国内公募の追加型株式投資信託(ETF、DC専用、SMA専用、ラップ専用を除く)を対象に、4月1~15日までの資金流入額(推計値)でランキングしたところ、上位には先進国株式で運用するタイプが目立った。一方、下位の1番目と2番目にはアムンディ・ジャパンが運用する「損失限定型」のバランス型ファンドが並んだ。
■先進国株式型に資金流入、好成績の「テトラ」も人気
4月前半の資金流入額が最も大きかったのは、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(03311187)の70億円だった。2位はティー・ロウ・プライス・ジャパンの「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド<愛称:アメリカン・ロイヤルロード>」(AW31119C)。上位10本のうち6本は先進国株式型(QUICK独自の分類)が占めた。
新型コロナウイルス感染拡大による混乱の影響で、ほとんどの投信は年初来リターン(3月末時点)がマイナスに落ち込んでいる。10本中で唯一プラスだったのは、三井住友DSアセットマネジメントが運用する10位の「テトラ・エクイティ」(7931119B)。米S&P500種株価指数先物を機動的に売買するファンドで、3月末までの3カ月間で48.3%も上昇した。4月前半の資金流入超過額は約36億円に膨らみ、すでに3月月間の約28億円を上回っている。
■「損失限定型」に解約の動き
資金流出額が最大となったのは、「アムンディ・ダブルウォッチ」(58311161)の429億円。「フロア水準」という下値目安を設けた損失限定型ファンドだが、コロナショックによる波乱相場の中で3月下旬に繰り上げ償還が決まった。4月30日の繰り上げ償還まで円建ての短期金融資産などで運用を続けているが、償還価額の更なる下落を恐れた投資家から早めに解約する動きが出ているようだ。
次に資金流出が多かったのは、「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド<愛称:あんしんスイッチ>」(58311177)で181億円。基準価額が「プロテクトライン」と呼ぶ下限値にじりじり近づいていることを受け、資金が流出しているようだ。どちらも4月前半だけで3月の資金流出額(130億円と61億円)を大幅に上回り、流出ペースが加速している。
■分類別では「REIT型」にも資金流入、「国内株式型」は流出に
国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)全体では、4月前半に512億円の資金流入超だった。3月(2835億円)に引き続き、不安定な相場のなかで投信への資金流入が続いている。
投資分類別に見ると、3月月間で最も資金が流入した「先進国株式型」に4月前半も資金流入が続いた。3月に大きく値下がりし、押し目買いが膨らんだ国内外の「不動産投資信託(REIT)型」も前月を上回るペースで資金が流れ込んでいる
一方、4月前半に最も資金が流出したのが「バランス型」だ。3月(137億円の流出超)を大幅に上回る611億円の資金が半月で流出した。3月に流入超だった「国内株式型」は資金流出に転じている。
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