QUICK資産運用研究所=竹川睦、西田玲子
原油を投資対象にした投資信託に「逆張り」のマネーが流入している。4月に資金流入額が多かった国内公募追加型株式投信(ETF、ラップ・SMA専用を除く)をランキングしたところ、3位に「UBS原油先物ファンド」(50311092)が急浮上した。
■NY原油マイナスが呼び水に
投資対象を原油に絞ったファンドは、国内公募の追加型株式投信(ETFを除く)の中でもこの1本だけ。4月の資金流入超過額は約113億円と、3月(26億円)の4倍以上に膨らんだ。月間の資金流入額としては、2009年2月の設定来で最大となった。今年1月は1億円台、2月は3億円台だった。
4月はニューヨーク市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の期近物が史上初めてマイナスになるなど、前例のない水準まで原油安が進行。それが呼び水にもなり、相場の流れに逆らった「逆張り」の買いが膨らんだようだ。4月末時点の純資産総額は129億円と、昨年末時点(22億円)と比べ急増。4月末時点の年初来リターンは56.2%のマイナスだった。
■海外株式型に資金流入、「損失限定型」からは流出
4月の資金流入トップは「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド(愛称:アメリカン・ロイヤルロード)」(AW31119C)、2位は「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)だった。どちらも前月のトップ10に入っていた海外株式型ファンドだ。
一方、流出超過額が多かったのは、損失限定型のファンド。「アムンディ・ダブルウォッチ」(58311161)は3月下旬に基準価額が「フロア水準」と呼ぶ下値に到達し、繰り上げ償還が決まったことで解約が膨らんだ。「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド(愛称:あんしんスイッチ)」(58311177)も「プロテクトライン」と呼ばれる下値に近づいたことで資金流出が加速した。
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