政府は25日、4月7日に発令した緊急事態宣言を全面解除し、観光需要喚起策である「Go To キャンペーン」を7月下旬以降に開始すると発表した。株式市場では早速、関連銘柄の物色が盛り上がっている。
4月成立の2020年度第1次補正予算で1.7兆円を計上した「Go To キャンペーン」は、新型コロナウイルス問題で甚大な被害を受けている観光業を支援し、地場の消費を喚起する試みだ。宿泊・日帰り旅行商品の割引や、観光地周辺の土産物店・飲食店・観光施設・交通機関などで幅広く使用できるクーポンの発行を支援する。日本経済新聞の報道によれば、政府は移動自粛要請について7月末までを移行期間とし、段階的に解除する方針だ。不要不急の帰省や旅行など県境をまたぐ移動は5月31日まで自粛を求め、全国での移動解禁は6月19日を目指している。
QUICKは「Go To キャンペーン」の関連株など独自にテーマ株を選定している。5月26日まで直近5日間の平均騰落率を見ると「Go To キャンペーン」のテーマ株は16.6%の上昇だ。関連銘柄の業績回復への思惑から「旅行代理店」や「空運」など観光・旅行関連テーマの物色が盛んになっている。
「Go To キャンペーン」テーマの銘柄一覧は以下の通り。旅行比較サイト「トラベルコ」を運営するオープンドア(3926)、旅行代理店の旅工房(6548)の上げが目立つ。JAL(9201)やANA(9202)といった空運株も堅調だ。
クレディ・スイスは26日付のリポートで「『Go To キャンペーン』は、一時的な消費喚起策にとどまるものと、これを契機に消費行動の変化を促すものの二つの側面がある」「これを契機にオンライン飲食予約の普及に弾みがつく可能性があると見ている」と指摘した。オンライン飲食予約ではカカクコム(2371)の食べログ、リクルートHD(6098)のホットペッパー、ぐるなび(2440)に加えて、ヤフーを傘下に持つZHD(4689)の一休などが主要プレーヤーになるとみていた。ぐるなびについては「楽天(4755)と資本提携をしており、Go To キャンペーンの取り込みに向けて楽天トラベルなどの協業も可能であろう」と予想している。