QUICK企業価値研究所アナリスト 柊宏二(2020/06/01)
・与信費用が増加する見通し。利益回復は緩やかに
20/3期の連結純利益は前期比4割減の5282億円。アジアの銀行子会社株式の大規模減損や政策保有株式の減損、新型コロナウイルス対応の与信費用増加などが響いた。会社の21/3期連結純利益目標は5500億円。企業価値研究所は21/3期連結純利益を6500億円と予想。新型コロナの影響で収益増強は難しいとみており、景気悪化で与信費用も増加を見込む。ただ、会社目標は保守的な印象があり、一定の上積み余地があるとみる。当研究所では連結純利益を22/3期7500億円、23/3期9000億円と予想。与信費用増加等の影響は残るとみており、利益回復は緩やかな「U字回復」の形を想定する。
・新型コロナの影響下でも減配リスクは低いとみる
新型コロナの影響でリスクアセットが増え、普通株式等Tier1比率に低下圧力がかかるが、財務面の懸念は少ないとみる。20/3期は減益の中、会社は1株当たり年間配当金を前期比3円増の25円(予定)とし、21/3期も同額を計画。減配リスクは低いとみる。自己株取得は見送られたが、可能性が消えたわけではないと考える。
・リスクファクター ~新型コロナ、相場変動など
・アナリストの投資判断 ~力強い回復は見込み難いが景気回復に伴い上値余地
現状の当研究所の21/3期予想PERは8倍台、実績PBRは0.3倍台。同社の過去3年平均(PER9倍、PBR0.5倍程度)を下回る。新型コロナの影響による収益減少や与信費用増加で、利益に下振れ懸念がある現状では、株価の力強い回復は展望し難い。ただ、景気敏感株であり、経済活動が今後徐々に回復する展開となれば、株価にも上値余地が出てくるとみる。減配リスクは低く、高水準の株主還元継続への期待は株価の下支え要因となろう。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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