1日に東証マザーズ指数が年初来高値を更新し、心理的節目の1000ポイントを回復した。2日の取引では続伸し大台を上回って推移している。けん引役はバイオ関連の「1本足打法」から物色の範囲が広がっている。
■マザーズ市場は「ウィズ・コロナ」に注目
直近までの上昇局面では、新型コロナウイルスワクチンを開発する創薬ベンチャーのアンジェス(4563)がけん引役であったが、「ウィズ・コロナ」で物色の裾野には広がりがみられる。1日のマザーズ市場の売買代金上位をみると、プレシジョン・システム・サイエンス(PSS、7707)はPCR検査システムや、DNA自動抽出装置の販売などを手掛けるバイオ関連機器メーカー。弁護士ドットコム(6027)はウェブで完結するクラウド契約サービスを提供するテレワーク関連企業のひとつ。メドレー(4480)は医療介護求人サイト運営やオンライン診療アプリなどを提供。サイバーセキュリティクラウド(4493)は企業向けの「社内セキュリティ」や「ウェブ・セキュリティ」を提供するテレワーク関連の一角で、多様さがうかがえる。
東証マザーズ指数と売買代金の日足チャートをみると、5月の活況が目を引く。5月26日の東証マザーズ市場の売買代金は3288億円で、2016年4月20日の3321億円以来約4年1カ月ぶりの高水準だった。26日のアンジェスの売買代金は1550億円で、市場全体の47%を1銘柄で占めた格好となった。ただ、その後の上値追いは前述のように「アンジェス頼み」だけではなかった銘柄の広がりが支援要因のひとつになったと考える。
■リーマン・ショック時より早い回復
マザーズ指数の推移の比較対象として、08年のリーマン・ショック時の値動きも掲出する。リーマン・ショックによる急落前の08年8月の水準をマザーズ指数が回復するのに約10カ月を要していた。マザーズ指数の20年の値動きは年初来安値をつけて約2カ月で、コロナ・ショック前の水準を回復し、2カ月半後には年初来高値を更新し心理的節目の1000ポイントを回復する力強さをみせた。
物色の柱はバイオだけにとどまらない。マザーズ市場ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連して広義のテレワーク、遠隔医療、在宅学習ほか多岐にわたるテーマ性につながる銘柄群をもつ。「コロナ・ディフェンシブ」とも呼べる投資テーマは息の長さを予感させる。(QUICK Market Eyes 山口正仁)