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米株急落、強気個人に「第2波」の試練 なお続く波乱相場の理由

世界的な金融緩和と財政拡大を背景に持ち高を大きく買いに傾け過ぎた反動が、米連邦公開市場委員会(FOMC)翌日の6月11日の急落につながった。短期的には日本でのSQ(特別清算指数)に当たる19日の「クアドルプル・ウィッチング」に向けて調整が進む可能性がある。

■ダウ平均、過去4番目の下げ幅

11日のダウ工業株30種平均は前日比1861ドル安と過去4番目の下げ幅を記録した。テキサス州など早い段階で経済を再開した州を中心に6月に入って新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、感染「第2波」が景気回復を遅らせるとの懸念が強まった。

※ダウ工業株30種平均の推移

※ダウ工業株30種平均の推移

■要因は持ち高の解消

11日の下げを招いた需給要因が、オプション市場で10年ぶりの高水準に傾いた強気の持ち高の解消だ。プット(売る権利)の総建玉をコール(買う権利)の総建玉で割って算出する米株の「プット・コール・レシオ」は8日に0.37と10年ぶりの水準に低下していた。同レシオは低いほど、投資家が強気に傾いていることを示す。

直近で最も高かったのは株式相場の急落局面だった3月12日の1.28。相場が底値を付けた後は相場の戻りと歩調を合わせ、3カ月で急低下した。短期間にコールの建玉が大きく増えたことを示す。

米ブルームバーグ通信は9日、米調査会社のリポートを元に6月第1週(1~5日)のオプション市場で「相場の一段高を狙った投機的なコール買いの規模が過去20年間で最高水準だった」と報じた。買いの中心は個人とされる小口投資家だったという。こうした極端な動きが入った後は相場は調整しやすい。

相場の上昇局面に乗り遅れまいとした個人が、現物株に比べ「レバレッジ(てこ)」が効くオプションで「順張り」で向かった。こうしたコールの大量買いに対し、主な売り手となるのは証券会社だ。証券会社は抱えるコール売りの持ち高のヘッジのため、株価指数先物を買う流れとなり、こうした動きが3月後半以降の急上昇を後押しした。

問題はこうした流れは特段の材料がなくても、大口投資家が持ち高を解消すると一気に逆流し、他の投資家も持ち高を解消させられる点だ。多くの投資家が保有するコールを一斉に売れば、証券会社は持ち高解消で株価指数先物を売る流れとなり、今日のような大幅下落を招く。

もっとも、流動性が高い「Eミニ・S&P500種株価指数先物」の投機筋の建玉(オプションを含む)は2日時点で24万8967枚ある。8年半ぶりの高水準だった前の週から4週ぶりに減少したが、なお高水準だ。相場の下落場面での買い戻しが下げを和らげる可能性もある。

米国では19日に株価指数先物・オプション取引、個別株オプション・先物の取引が清算されるクアドルプル・ウィッチングを迎える。コールの持ち高を解消する動きと、投機筋の買い戻しが交錯し、激しい値動きに見舞われる日が再度ありそうだ。(NQNニューヨーク  張間正義)

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著者名

日経QUICKニュース(NQN) 張間 正義


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