間もなく2020年4~6月期が終わろうとしている。この期の株式相場は新型コロナウイルスで乱高下したものの、結局は米株式相場の強さが顕著となっている。ダウ工業株30種平均やS&P500種株価指数も最高値更新まであと1割程度に迫る。
■アナリストはハイテク株に強気
米CNBCテレビは6月22日、S&P500種株価指数の四半期のパフォーマンスが1998年10~12月期以来の高水準で推移していると伝えた。なかでもアナリストはハイテク株に強気だ。ファクトセットの19日付のリポートによると、米S&P500種株価指数の構成銘柄に対する約1万400の格付けのうち、52%が「買い」、42%が「中立」、6%が「売り」となっている。セクター別に見ると、「買い」の比率が高いのは、エネルギーの62%とヘルスケアの61%を筆頭に通信サービスが58%、情報技術セクターは「買い」が56%となる。
2019年12月時点と直近の6月時点のセクター構成銘柄の「買い」の比率を比較すると、S&P500種株価指数の52%よりも買いの比率が高い4セクターのうち、新型コロナ後に買いの比率がもっとも上昇したのは、「情報技術」であることがわかる。
個別銘柄でも同様の傾向が見て取れる。ファクトセットによるとS&P500種株価指数構成銘柄のうち、格付けの「買い」の比率が高い上位10銘柄は上記の通りとなる。ランクインした銘柄の業種を見ていくと、設計ソフトウェアの シノプシスやネット小売りのアマゾン、グーグル運営のアルファベットなどの情報技術やハイテク関連の銘柄がランクインしている。
■日本でも好感
日本株でも似たような傾向が見て取れる。半導体製造装置大手の東京エレクトロン(8035)は18日に新型コロナウイルスの影響で非開示だった2021年3月期の連結純利益を開示し、前期比11%増の2050億円になる見通しで市場予想を上回ったことからその後株価は上昇し、2月の年初来高値2万5875円を試す展開となっている。同日のオンライン説明会で河合利樹社長はIoT(モノのインターネット化)や次世代通信規格「5G」、テレワーク、オンライン授業により、新型コロナの影響化でも旺盛な半導体設備投資の需要が続くとの見方が好感された。
同様に5Gで使われる計測装置を手掛けるアンリツ(6754)も買われ、年初来高値更新が続いており、東京エレクトロンとともに信用売りも 増えていることから日証金の貸借倍率は1倍を切っている。逆日歩もついており売り方の買戻しによる一段高もありそうだ。
このような強弱感の対立は続くとみられ、新型コロナ感染第2波などで主力指数の上値が重くなる中でもコロナ後の社会ニーズを見据えた物色の二極化は当面続きそうだ。個別では国産スパコンの「富岳」が計算速度ランキングで世界一やハイテク株物色で富士通(6702)の動向が注目されそう。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)
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