香港株式市場で中国ネットサービスの騰訊控股(テンセント)株が快進撃を続けている。時価総額は6月23日終値時点で4兆7519億香港ドル(約65兆円)と、アップルやフェイスブックといった米ネット・ハイテク巨人企業の「GAFAM」に次ぐ世界6位だ。アジア企業ではアリババ集団を上回り首位となった。トヨタ自動車(東証1部、7203、約22兆8400億円)の実に3倍の規模だ。
■目標株価は514~600香港ドル
テンセントの株価は24日に一時、節目の500香港ドルを上回り、2014年の株式分割を考慮した実質的な上場来高値を更新した。同社が27日に予定するゲームの年次発表会で、ネクソン(東証1部、3659)の人気ゲーム「アラド戦記」の中国語モバイル版が発表になるとの観測が浮上し、直接の買い材料となっている。
24日付の香港経済日報によると、市場参加者のテンセント株の目標株価は514~600香港ドル程度。各国・地域中銀の金融緩和で多額の投資資金が市場に流入するなか、「株価がどこまで値上がりするか予測できない」(豊盛金融集団・資産管理ディレクターの黄国英氏)との声も上がっている。
■ゲームは「社交の手段」
中長期的な時代の変化も追い風だ。「新型コロナウイルスでの学校の休校期間中に、『王者栄耀』などの主力ゲームが変わらず人気だった」(23日付の香港経済日報)ことで、同社のゲーム企業としての圧倒的な強さが改めて認識されている。現在のゲームは、若者にとっては単に遊ぶものではなく「社交の手段」(泓瑞源金融集団の岑智勇ストラテジスト)。自粛で巣ごもりを余儀なくされるなか、ゲームを通じた交流は「人々の生活に定着した」(岑氏)といえ、テンセントの生活インフラとしての需要は大きく拡大した。
テンセントはゲームのほかに、11億人超の利用者を持つ対話アプリ「微信(ウィーチャット)」をはじめ、動画会議サービスなども展開する。投資家はテンセントに対し、コロナ後時代の主役の1つとして熱い視線を注いでいる。(NQN香港 桶本典子)