米連邦預金保険公社(FDIC)と米連邦準備理事会(FRB)など金融監督当局は25日、金融機関に自己勘定取引(自己資金による取引)や私募ファンドへの投資制限を課した「ボルカー・ルール」の規制要件緩和を決めた。 今回の決定により、銀行はプライベート・エクイティ(PE、未公開株)やベンチャー・キャピタル(VC)、ヘッジファンドにより多くの投資が可能となる。10月1日から適用される。
また、通貨監督庁(OCC)とFDICは、金融機関がデリバティブ取引を行う際に義務付けた証拠金の基準緩和も決めた。これにより、スワップ取引等の際に必要となっていた資本を準備する必要がなくなる。
ウェルズ・ファーゴは25日付リポートで、「いずれの変化も大きな影響を与えるものではない」と指摘しつつも、「PE・VC投資を行っている大手銀行にとってポジティブ」とし、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーのような資本市場のプレーヤーが「最大の恩恵を受ける」との見方を示した。
中でも、ゴールドマンとモルガンに対して、「両社はPE事業を成長させたいと考えていることから、今回の規制緩和により展望がより明るくなる」と指摘。「特に、足元の低金利環境下において、フィービジネスの動向がより重要になる」との見方も示されている。(QUICK Market Eyes=大野弘貴)