投資信託の運用成績を定量評価する指標の代表格が運用効率(シャープレシオ)だ。過去一定期間のリターン(収益率)をリスク(価格変動)で割って求める指標で、数値が高いほど運用で取ったリスクに見合うリターンを効率よく上げたと評価する。
国内公募の追加型株式投資信託(ETF、DC専用除く)の「国内株式型」(QUICK独自の分類)のうち、過去1年間の運用効率が高い順にランキングしたところ、上位には株式の規模では中小型、業種別では情報・通信業を中心に投資しているファンドが目立った。一見してリスクが高いと思われがちな中小型株などを組み入れることで運用成績の向上につなげた。
シャープレシオ首位は、大和アセットマネジメントが運用する「ダイワ・セレクト日本」(04312074)の1.18だった(図1)。成長性があり割安と判断した国内株式で主に運用しており、1年リターン(26日時点、分配金再投資ベース)は38.5%と好調だった。最新の月次レポート(5月29日時点)では、東証一部上場銘柄が約6割、新興市場などに上場する銘柄が3割超を占め、情報・通信業への投資が4割弱に上った。組み入れ上位銘柄はプロレド・パートナーズ(7034)やマクアケ(4479)など。
3位の「DIAM新興市場日本株ファンド」(4731107B)は、1年リターンが39.5%と上位10本中最高だった。シャープレシオは1.10。国内の新興市場上場の小型株を中心に投資する。情報・通信業への投資は6割超と高めだった。組み入れ上位にはメドレー(4480)やBASE(4477)などが並ぶ。
一方、「日興UBS日本株式リスク・コントロール・ファンド」(5031113C)は、リターン(15.1%)が上位10本の中で最も低かったが、シャープレシオは1.01でランキング4位に入った。国内株式のうち、株価の割安度と事業の競争力を兼ね備えた企業に投資するファンドで、組み入れ上位にはソニー(6758)やNTT(9432)などの大型銘柄が含まれ、組み入れ業種も偏りが少なく多岐にわたるのが特徴だ。株価指数先物取引などを用いた独自のリスク・コントロール戦略も行う。価格変動リスクを抑えたことにより、効率よくリターンを上げたファンドといえる。
リターンの高低などのみでは判断しにくい優良ファンドを見つけられるシャープレシオだが、数値は過去の運用成績に基づいて算出されるため、未来の動きを予測したものではない点には注意が必要だ。(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)