投資信託の6月の運用成績は、主に先進国株式で運用するファンドのパフォーマンスが好調だった。成績上位にはフィンテックや人工知能(AI)、電気自動車(EV)などのテーマ型が並んだ。一方、国内の不動産投資信託(REIT)で運用するタイプの投信は不振が続いた。
■主要ファンド、リターン首位は12%超のプラス
国内公募の追加型株式投資信託(ETF、ラップ・SMA・DC専用を除く)のうち、6月末時点の純資産総額(残高)上位100本を対象に、6月のリターン(分配金再投資ベース)が高い順にランキングしたところ、上位10本のほとんどが主に先進国株式で運用するファンドだった(図1)。
1位は「グローバル・フィンテック株式ファンド<愛称:グローバル・フィンテック株式ファンド(1年決算型)>」(0231116C)で12.7%のプラス。6カ月リターンも26.1%と好調だった。同ファンドは世界の株式のうち、今後の成長が期待できるフィンテック関連企業に投資する。最新の月次レポート(5月29日時点)によると、投資先は6割超を米国が占め、組み入れ銘柄上位には米決済サービス大手のスクエア(SQ)や、アルゼンチンの電子商取引(EC)大手で「南米のアマゾン・ドット・コム」とも呼ばれるメルカドリブレ(MELI)などが並ぶ。
■「野村インド株」が持ち直し
1カ月リターンがプラス11.6%で2位となった「グローバル・プロスペクティブ・ファンド<愛称:イノベーティブ・フューチャー>」(02312196)は、6カ月リターンでは上位10本中最も高い30.4%のプラスだった。世界の株式のうち劇的な生産性向上やコスト低下などの「破壊的イノベーション」を実現しうる企業に投資する。自動運転技術に取り組むテスラ(TSLA)などを組み入れている。
新興国株式型(QUICK独自の分類)で唯一上位10本に入ったのは、5位の「野村インド株投資」(01312056)。6カ月リターンは20.0%の大幅なマイナスだったが、6月はやや持ち直した。
■下位には国内REIT型が並ぶ
一方、6月末時点の1カ月リターン最下位は、「野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信(米ドルコース)毎月分配型」(0131410A)だった(図2)。米国を中心に世界のインフラ関連企業に投資する。景気停滞が長期化するとの懸念などから運用不振が続いた。
下位10本のうち6本は国内REITを主な投資対象とするファンドで、どれも6カ月リターンが2ケタのマイナスだった。国内REITの総合的な値動きを示す東証REIT指数は6月の月間で2.0%、年初来高値をつけた2月20日からは25.9%下落した。新型コロナウイルス感染拡大を受けた東京五輪の延期やインバウンド減少などが響いている。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)