「無印良品」を展開する良品計画(7453)は7月10日、米子会社が日本の民事再生法に当たるチャプター11(米連邦破産法第11条)の適用を同日付で申請したと発表した。「あの無印も新型コロナウイルスの魔の手には勝てなかった」とショックを受けた投資家は多かったが、同社はネット通販の拡大など業績改善に向けた戦略を立て続けに示している。チャプター11もその一環ととらえれば、再成長に向けたスピード感が増すという見方もできなくない。
■「MUJI U.S.A.」が破産法申請
前週末10日の大引け間際に一報が伝わると、良品計画株は急落し5%安で終えた。13日はその反動もあって朝方は買われたものの、買い一巡後は失速した。終値は前週末比21円(1.5%)安の1350円だ。

「MUJI U.S.A.」は2006年に事業を開始し、18店舗を展開しているが、新型コロナの影響で全店の営業停止を余儀なくされた。ニューヨークなど一等地の路面店もあり、もともとかさんでいた賃料の負担がコロナによってさらに重くなった。まずは家賃交渉を進める方針で、交渉が成立せず収益改善が見込めない店舗は閉店を検討するという。
■前向きな見方も
市場での米国事業破産に関するマイナスのイメージに対し、「いまの環境下、このまま事業を続けても収益改善は見込みにくい。いったん区切りを付けるという選択は方向性として悪くない」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長)という評価もある。「ニューヨークの店舗はグローバルブランドとしての広告塔という位置づけ」(小売業に詳しいフロンティア・マネジメントの山手剛人氏)とみられ、コロナ前からコストが先行しやすかった。
ニューヨークでは衣料品のギャップなど大手ですら家賃の支払いに苦慮している店が少なくない。朝方の戻りには経営判断に対する前向きな見方が反映されていたのかもしれない。
■今後の戦略
10日発表した20年3~5月の最終損益は赤字に転落し、6カ月の変則決算となる20年8月期の連結最終損益も39億円の赤字となる見通しだ。ただ、課題だった在庫では棚卸し資産の前年同期と比べた増加率が5月末時点で17%増と、これまでと比べて増え方が緩やかになっている。季節性のない定番商品を中心に過剰な値引きを抑制しながら生産調整を進めて21年8月期までに在庫の適正化を目指す。
ここから良品計画はどう成長路線に回帰するか。山手氏は「中国・アジア事業の再加速が重要なポイント」と指摘する。足元では減速しているが「ブランドとして定着しており、地力は強い」という。3~5月期のセグメント利益は、他の地域が赤字のなか東アジアのみが14億円の黒字だった。ここに巻き返しのチャンスがありそうだ。
日本国内では出店の余地が限られ、競争も激しくなっている。足元ではニトリホールディングス(9843)が業績でも株価でも先を行く。良品計画はネット通販や、ローソン(2651)との提携などによる販路拡大を急ぎ、自前の店舗ありきではない戦略を模索している。
いまは海外も国内も立て直しの時期。良品計画の株価は1月の高値から半値ほどに沈む。再成長に向けた地ならしによって、今後は見直される余地も十分にありそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥〕