銅は世界景気に先行して価格が変動すると言われており、「ドクター・カッパー(銅)」の異名を持つ。銅価格を安全資産の代表格である金価格で割った比率(青線)は、より景気の動向を反映する指標として注目されている。債券市場は物価動向に対して敏感に反応する。インフレやデフレのリスクについて警鐘を鳴らすことから「債券自警団」という言葉もある。景気が上向きになれば物価も上がり、長期金利(緑線)は上昇することから、両者の連動性は高い。
しかし、足元では前者が上昇する一方、後者は底ばい状態にある。「ドクター・カッパー」が正しいとすれば、強力な金融緩和によって抑えられていた長期金利はいずれ上昇に転じるだろう。逆に「債券自警団」が正しければ、景気回復期待はいずれ裏切られるとの警鐘だと解釈できる。どちらが正しいのか、今後の両者の動向は要注目だ。
(QUICK Market Eyes 池谷信久)
<金融用語>
インフレリスクとは