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特許による銘柄選びに3つの利点 情報通信上位は株価24%上昇(IPリポート VOL.33)

記事公開日 2020/7/22 13:31 最終更新日 2020/7/22 13:31 国内 KKスコア 注目銘柄 特許 知財 IP最前線

証券アナリスト=三浦毅司(日本知財総合研究所

企業が持つ特許の価値から銘柄を選定する手法は、資産運用の世界ではあまり注目されてこなかった。今回は1年前のKKスコア上位企業の運用パフォーマンスを実際に検証してみたい。

対象は技術力が企業価値の重要な要素となっている「情報通信」とした。通信会社やソフト開発、メディアなどが含まれる。企業によってばらつきはあるものの、上位12社の平均した株価のパフォーマンスは24%の上昇だった。東証株価指数の情報通信業と比べると8ポイントほど上回っている。

新しい観点による銘柄選び

特許評価による投資銘柄選定は3つの意義がある。まずは今までの市場の需給や企業業績などとは関係のない、新しい選定手法であるということだ。需給や業績分析は、対象となるデータが幅広く知られているものなら、だれが試みても結果は大同小異である。特許価値による選定は、これまで選ばれなかった銘柄が見つかる可能性がある。

特許は一般的に企業の長期的戦略のもとで出願される。その時間軸は5年から10年と言われており、企業の中期経営計画よりも先を見ている。特許評価を用いた銘柄選定は、中長期のパフォーマンス予測につながる。

新しい手法は投資家に受け入れられるまでが大変だが、優れた特許は一般的に優れた技術に裏付けされている。優れた特許を多く持つ企業は技術開発に優れた企業という納得感が得られやすい。

強い技術開発力があれば売り上げの増加と、特許による適正な利幅の確保につながると考えられる。優れた特許を持つ企業は収益性に勝り、企業全体の評価である株価にもプラスの影響を与えると考えられる。

KKスコアは特許を3因子から評価

KKスコアは神戸大学とカネカ(4118)が共同で開発した特許の簡易評価スコアで、パナソニックが提供する特許調査支援サービス「PatentSQUARE」で入手できる。

KKスコアでは特許情報を、牽制度、注目度、出願時期待度の3つの因子に分けて評価している。この評価体系は特許の評価体系に一致しており、KKスコアにより重要な特許の絞り込みが可能だ。

■KKスコアの評価体系

出所:日本知財総合研究所

実際の投資銘柄選定では、企業が保有する特許を評価した後、企業ごとに集計して上位を候補としている。

特許が事業において重要な要素となっている業種はいくつかあるが、技術が、より直接的に企業評価に結び付くと我々が考えるのが情報通信産業だ。2019年7月にKKスコアによるランキングで上位12社となった企業をとりあげて、1年間の株価のパフォーマンス(累積騰落率)を業界平均と比較した。この結果、上位12社の平均累積騰落率は24%のプラスだった。業界平均の16%を8%ポイント上回った。

■KKスコア上位12社の株価パフォーマンス(累積騰落率)(2019/7/1=1)

出所:QUICKのデータを元に日本知財総合研究所作成

カプコンが上昇率首位

ベストパフォーマーはカプコン(9697)で、株価は1.86倍に値上がりした。ワーストはコナミ(9766)で、0.65倍となっている。このように、全体では業界平均を上回るものの、銘柄ごとにばらつきがある。個社ベースでの銘柄選定では、特許評価に加えて企業業績などファンダメンタルズの分析も重要になる。

KKスコアを用いた特許評価は、継続評価を行うことで特許にかかわる環境変化を察知できる。特許で最も怖いのが、他社特許の侵害が認定され、事業の差し止めや損害賠償を求められることだが、牽制度に関するKKスコアのポイントを継続的にみることでこうした状況を把握できる。また、注目度については他社の特許との相対的な位置関係がわかり、技術優位性が維持されているか、別の特許により業界地図が塗り替わる可能性はないかも察知しやすくなる。(2020年7月22日)

 

日本知財総合研究所 (三浦毅司 [email protected] 電話080-1335-9189)

(免責事項)本レポートは、レポート作成者が信頼できると判断した情報に基づき作成されていますが、レポート作成者及びその所属する組織等は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であること、重要な事項の記載が欠けていないこと、将来予想が含まれる場合はそれが実現すること及び本レポートに記載された企業が発行する有価証券の価値を保証するものではありません。本レポートは、その使用目的を問わず、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、その使用結果について、レポート作成者及びその所属組織は何ら責任を負いません。また、本レポートはその作成時点における状況を前提としているものであって、その後の状況が変化することがあり、予告なく変更される場合があります。


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