小売店でプラスチック製レジ袋が7月1日から有料化された。海洋汚染など環境問題の原因になるプラスチック廃棄の削減につなげるのが狙いとされる。関連する業界として小売業(インターネット販売とカタログ販売を除く)について独ESG評価会社アラベスクS-Rayによる「環境ESGサブスコア」を順位付けしたところ、7月31日時点でローソン(2651)が首位だった。
■コンビニ2社とイオンが70点上回る高評価
アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の約7300社について、企業の公開情報と世界の情報元からESG(環境・社会・企業統治)評価に必要なデータを自動収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E、S、Gの3つのサブスコア(各100点満点)から構成されている。
今回はこのうち「E」のサブスコアに注目し、小売業のうちインターネット販売とカタログ販売を除いてランキングした。ローソンのほか、セブン&アイ・ホールディングス(3382)が2位、ファミリーマート(8028)は4位と、コンビニエンスストア各社の高得点が目立った。
3位のイオン(8267)までの環境ESGサブスコアが70点を超えた。上位の会社は、環境分野の課題への取り組みが進んでいるとみられる。小売業でESGスコアが最も高いスギホールディングス(7649)の環境ESGサブスコアの順位は6位タイだった。
■ESG高評価につながる企業活動の中身に注目
2019年版のローソン統合報告書をみると、レジ袋削減への取り組みとして2030年目標(KPI)に「プラスチック製レジ袋100%削減」を掲げ、植物由来の樹脂をレジ袋に一部採用したり、エコバッグの普及を推進したりしている。2018年度の1店舗当たりのレジ袋使用重量は、2000年対比で27.2%削減したという。
プラスチック製レジ袋のメーカー側はどうか。例えば紙製品だけでなく化成品も扱うスーパーバッグ(3945)はアラベスクS-Rayの評価対象に含まれていないが、化学メーカーなどを含む「加工業」は総じて環境サブスコアが高いところが目立ち、環境課題への対応に力を入れていることがうかがわれる。
環境課題への取り組みへの評価が必ずしも短期的に株価に反映されるとは限らない。ESGサブスコアの高いコンビニ3社の株価をみると、伊藤忠商事(8001)によるTOB(株式公開買い付け)の発表で上昇したファミマを除くと、今年3月末の株価を下回っている。しかし、機関投資家によるESGを重視した投資の流れが進んでいるのは間違いない。ESGスコアや構成するサブスコアの高評価につながっている企業活動の中身に注目する必要があるだろう。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)