安倍首相は17日午前、都内の慶応義塾大学病院を訪れた。首相周辺は「夏季休暇の機会を利用して、休み明けの体調管理に万全を期すため、日帰り検診を受診した」と説明した。一方、安倍首相は新型コロナウイルスの対応で連日の公務が続いており、健康状態を不安視する声も上がっていた。
ユーラシア・グループは17日付リポートで、「今のところ安倍首相が重病だと信じる理由はないが、否定もできない。ストレスの多いスケジュールや、薬でコントロールしている炎症性腸疾患の潰瘍性大腸炎の悪化が原因ではないか」と推測した。また、もし安倍首相が健康を理由に首相を辞任した場合、任期を終える2021年9月まで、自民党は後任に菅義偉官房長官か麻生太郎副総理兼財務相を選ぶかもしれないと予想している。
ユーラシアは新型コロナウイルスへの対応が続く中で安倍首相が退任することは、国民や経済界を不安にさせる大きなリスクをもたらすとも指摘。後任候補とされている岸田文雄政調会長と河野太郎防衛相は経験が浅いことから可能性は少ないとの見方も示している。同社は今年の衆院選は晩秋か初冬になる可能性が高い(40%の確率)とのメーンシナリオを維持しているが、安倍首相が健康不安に直面することで、その治療と回復にかなりの時間を費やすか、辞任に追い込まれることが明らかになれば、選挙の見通しと政治日程全体を見直す必要が生じるとした。(QUICK Market Eyes 大野 弘貴)