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マザーズ決算スコアランキング カオナビに注目

投資資金の新興株シフトがすすみ、東証マサーズ指数の強さが鮮明になっている。8月20日時点の日本株の主力指数の1カ月リターンは、日経平均が+0.7%、TOPIXが+1.4%に対して東証マザーズ指数が+12.1%と大きくアウトパフォームしている。日経ジャスダック指数の+1.4%も上回った。

■マザーズ決算スコアランキング

4~6月の決算シーズンが一巡し、やや例年より遅れた間のある夏枯れ相場の中、値動きの軽いマザーズ銘柄が選好されている。

7~8月のマザーズ上場銘柄の決算スコアを抽出し、ランキングにした。

決算スコアは、企業が開示する決算や業績予想修正が、どの程度株価にインパクトを及ぼすかをQUICKが統計的に算出した参考指標だ。

売上高など主要な収益項目について(1)前期実績(2)直近の会社予想(3)市場予想(QUICKコンセンサス)との比較で分類し、同様の分類パターンの過去の株価動向から算出している。業績予想と四半期実績はそれぞれ別にスコアリングしており、同一銘柄ではよりスコアが高いものを採用した。

※東証マザーズ 決算スコアランキング

期間中に対象銘柄で決算スコアが最も高かったのは、AI inside(4488、マザーズ)だった。12日に2021年3月期の業績予想を上方修正した。修正後は売上高が前期比2.2倍の35億円、営業利益は同2.4倍の10億円を見込む。

同社はAI(人工知能)に手書き文字の光学式文字読み取り(OCR)サービスを手掛けている。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代で需要が高まり、期待される一社だ。

このうち1カ月リターンがもっとも高かったのは、ベガコーポレーション(3542、マザーズ)の+111%だった。同社は家具のネット販売を手掛けている。SEO・Web広告からの新規アクセス流入およびSNS強化による認知度向上などのネットマーケティングの効果もあり、7月31日に発表した20年4~6月期は、大幅増収増益となった。たたし、その後連日ストップ高となるなど その後の上昇が急ピッチだったことから増担保規制などが重しとなり、 足元では日柄調整の動きとなっている。

■カオナビ、「回復以上に成長する兆しすらみえてきている」

このほかランキングにはキャッシュレス、EC(電子商取引)、通販などコロナ後のリモート社会ならではの投資テーマの銘柄が並んでいる。

中でも社員情報の一元管理サービスをクラウド上で提供するカオナビ(4435)に注目したい。

同社の「カオナビ」は、顔写真を並べて直感的にわかりやすい社員の人材情報検索システムで利用企業数が着実に伸びている。積極的な人材採用などによりまだ赤字ではあるが着実な成長を続けている。経理などに比べてこれまで企業の人事や経歴情報のデジタル化が進んでいなかったことも背景となっており、SaaS銘柄(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)としても注目される。

14日に発表した20年4~6月期は、売上高が前年同期比31%増の7億5300万円だった。利用企業数が1841社と433社増えた。社員数200人以上の大企業の比率が拡大したことから、1顧客あたりの単価(ARPU)が12万6000円と前年同期比17%上昇し顧客拡大とともに増収をけん引した。

基本利用料が売上高に占める比率で安定収益の指標となる「売上高ストック比率」は89.4%と前年同期比12.6ポイント拡大した。新型コロナウイルスの影響で新規顧客の開拓が鈍化したのも安定収益の比率拡大の背景だ。売上高の先行指標となる「コンバージョン数」は、コロナの影響が本格化した2月後半から5月にかけて減少が続いた。

もっとも、緊急事態宣言の解除や企業の人事部門で新入社員の受け入れが一巡したことから 6月はコンバージョン数が急回復し単月で過去最高となった。

柳橋仁機社長兼最高経営責任者(CEO)は同日開催のオンライン決算説明会で、「回復以上に成長する兆しすらみえてきている」と自信をのぞかせており、今後の売上高の増加に期待がもてそうだ。QUICK Market Eyes  阿部哲太郎)

<金融用語>

QUICKコンセンサスとは

証券会社や調査会社のアナリストが予想した各企業の業績予想株価レーティングを金融情報ベンダーのQUICKが独自に集計したもの。企業業績に対する市場予想(コンセンサス)を示す。一方、「QUICKコンセンサス・マクロ」は、国内総生産や鉱工業生産指数など経済統計について、エコノミストの予想を取りまとめたものをいう。 QUICKコンセンサスを利用したものとして、QUICKコンセンサスと会社予想の業績を比較した「QUICK決算星取表」や「決算サプライズレシオ」、QUICKコンセンサスの変化をディフュージョン・インデックス(DI)という指数にした「QUICKコンセンサスDI」などがある。また、「QUICKコンセンサス・プラス」は、アナリストの予想対象外の銘柄に会社発表の業績予想などを採用して、国内上場企業の業績予想を100%カバーしたものをいう。

著者名

QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎


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