27日の東京株式市場で、リクルートホールディングス(6098)が一時7%高となった。26日発表の4~6月期の連結純利益(国際会計基準)は前年同期比62%減。通期の業績見通しも非開示と厳しい決算内容になったにも関わらず、買いが優勢となった。業績回復の芽が見えたことや、決算プレー(決算発表後の短期の値幅取り)がきょうの上昇につながったようだ。
■「インディード」復調の兆しに株価は反応
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4~6月期はどの事業も振るわなかった。飲食店「ホットペッパー」などのメディア&ソリューション事業は売り上げ収益は前年同期比29%減。人材派遣事業も12%減った。
それでも、リクルート株は一時前日に比べ268円(7%)高の4038円と、2カ月半ぶりの高値を付けた。買いの手がかりになったのは、検索型求人サイト「インディード」が主力のHR(Human Resourse)テクノロジー事業に復調の兆しが見えたことだ。
みずほ証券の岸本晃知アナリストらは26日付のリポートで、「HRテクノロジーの7月の米ドルベース売上収益が前年同月比で約7%減まで改善したこと等から、印象はややポジティブだ」と指摘した。米国などで個人ユーザーの求職活動と企業クライアントの採用活動が一部で再開され始めており、4月を底に減収率が改善している。
■あく抜け感による買い戻し需給の要因も
一方、別の要因を指摘する声もある。auカブコム証券の河合達憲チーフストラテジストは「あく抜け感が出たためだ」と話す。3日に4~6月期は937億円の最終赤字だったと発表したJAL(9201)が翌日に8%高になったのが象徴的なように、業績が悪い銘柄に決算プレーで買い戻しが入る場面も目立った。
リクルート株の21日時点の信用倍率は0.66倍。信用売り残高が買い残高を大きく上回っている。株価は8月に入り26日時点で15%以上上昇しており、売り方が買い戻しを迫られていてもおかしくはない。河合氏は「もし業績が素直に見直されていたならば、ストップ高になったはずだ」と話し、株価上昇は需給的な要素が大きいとみる。
25日には農水省の外食需要の喚起策「Go To イート」のオンライン飲食予約委託事業者に選ばれるなど、新規の買い材料がない訳ではない。とはいえ、求人サイトや人材派遣といった新型コロナで経済活動が停滞すれば落ち込むビジネスが主力のリクルート。株高が続くかは不透明な側面がある。 〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一〕