新型コロナウイルスの感染拡大にもかかわらず業績を伸ばす会社がある。例えば、半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)。次世代通信規格「5G」に加え、テレワークなどの新生活様式による半導体需要の高まりを背景に2021年3月期は増益・増配の見通しだ。そのサプライヤーや大株主といった関連銘柄を、会社の「沿革と事業内容」で探してみた。
■内外テックは東エレクグループへの売上高が全体の約7割
東エレクが7月28日に開示した2021年3月期の連結純利益予想は前期比11%増の2050億円。年間配当は同72円増の660円を見込む。同社の関連銘柄について、「QUICKリサーチネット」で提供されるQUICK企業価値研究所による個別銘柄レポートの「沿革と事業内容」を使って調べた。
フリーワードの検索窓に「東京エレクトロン」と入力すると、東京エレクトロン デバイス(2760)、内外テック(3374)、トーカロ(3433)、マルマエ(6264)、アバールデータ(6918)、東京放送ホールディングス(9401)がヒットした。例えば、内外テック(下図参照)を見ると、「東京エレクトロングループへの売上高が全体の約7割を占める」と出てくる。
各社の記載内容を抜粋すると以下のようになる。
・東エレデバ:東エレクの持分法適用関連会社
・内外テック:東エレクグループへの売上高が全体の約7割
・トーカロ :20/3期全体の売上高の約3割が東エレクグループ向け
・マルマエ :主要販売先は東エレクと日本発条
・アバール :東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ、東京エレクトロン宮城、ニコンの主要3顧客への売上高が全体の約半分
・TBSHD:東エレクへの出資比率が高く、同社からの受取配当金(営業外収益)が経常利益以下の利益動向にも強く影響
■トーカロ、マルマエ、アバールも東エレクグループが主要販売先、TBSHDは出資
「沿革と事業内容」は有価証券報告書などの公表資料から主要販売先や大株主などの情報を収集して記載している。内外テック、トーカロ、マルマエ、アバールにとってはいずれも東エレクグループが総販売実績額の10%以上の主要販売相手先であり、TBSHDは東エレクの大株主であることがわかる。
特定の取引先への販売依存度が高いと、その取引先の動向に左右されやすくなるため、供給側にとってはリスクにもなる。また主要販売相手先は実績の情報で、新規取引先の開拓に力を注いでいる可能性もある。販売する商品などを個別に調べる必要もあるが、「沿革と事業内容」を使えば根拠のある関連銘柄を簡単に検索できる。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)