住設機器グループ大手のLIXILグループ(5938)が9月4日にオンラインで開催した住宅サッシやエクステリア(外構)などを扱うハウジングテクノロジー(LHT)事業の戦略説明会では、「需要」「リフォーム」「ビジネス」などが焦点になっていた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
LHT事業を担当する吉田聡専務は説明会の冒頭、国内は新築住宅着工件数がさらに減速していくとの見通しを示した。「規模より収益性を重視したビジネスモデルへ転換していく」と需要構造そのものの変化への対応が必要だと強調した。そのうえで国内のLHT事業の利益率を5%から10%に引き上げる目標を掲げた。
具体的には新築住宅向けよりも利益率の高いリフォームの推進や、プラットフォーム設計などの効率化を中心とする「モノづくりの改革」、単価の引き上げなどを挙げた。新型コロナウイルスの感染拡大による新たな需要として「大都市集中から地方回帰、生活空間プラス仕事の空間」を快適に過ごすため、換気やワークスペース、防災・防音、暑さ対策などのリフォームのプロモーションを展開したところ、関連製品の売り上げが伸びているという。
2019年4月からは「新規事業部門ビジネスインキュベーションセンター」を立ち上げて、市場変化に対応した商品を迅速に投入する体制を構築した。ソニー(6758)の協力を得て既存のドアに後付けができる電動開閉システム「DOAC(ドアック)」を今年9月に発売しており、吉田専務は「今後、非常に大きな広がりがある」と期待を示した。
新規事業として東京電力エナジーパートナーと共同で手掛けている「建て得」を紹介した。太陽光発電システムを施主に割賦販売し、電力小売り事業によって得る売電収入を割賦費用と相殺して初期導入費用をゼロにする仕組みだ。LIXILの商品を使えば使うほど毎月の電力代が安くなることもあって、売上高が大きく伸びている。
アナリストやマスコミからの質問では「リフォーム」の成長戦略に高い関心が集まった。吉田専務は「一番大きく期待しているのは、エクステリアの商品」だとして、利益率の高さや新築着工戸数に左右されにくいためと説明した。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が長くなり、ウッドデッキや目隠しのフェンスといった商品の需要が伸びていることにも言及した。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)