(更新:2020年10月1日、11:20)
NTT(9432)は9月29日、上場子会社のNTTドコモ(9437)をTOB(株式公開買い付け)を通じ、完全子会社化すると正式発表した。買収総額は約4兆2500億円。ドコモは日経平均株価の採用銘柄でもあり、指数から除外される公算が大きい。このため市場では既に代替候補探しが始まっている。
■シャープ、ロームなど=みずほ証
みずほ証券は30日付リポートで、日経平均採用銘柄であるNTTドコモが上場廃止となった場合、銘柄入れ替えが発生するとして、シャープ(6753)やローム(6963)などを採用候補に挙げた。
また、過去事例に基づくと、11月16日のTOB期間終了後、翌17日にTOBの結果が発表。TOB成立の場合は18日に臨時銘柄入れ替えが発表され、12月1日前後の引け後に入れ替えが実施されるとのスケジュールが想定された。
▼みずほ証券予想、日経平均銘柄入れ替え予想(確度が高い順)
コード | 銘柄名 | パッシブ需要(百万円) | 買入インパクト(日) |
6753 | シャープ | 34,479 | 10.16 |
6963 | ローム | 217,620 | 40.02 |
7259 | アイシン精 | 89,910 | 29.89 |
7701 | 島津製 | 87,480 | 38.27 |
9437 | NTTドコモ | -8,675 | -0.52 |
■ロームかアンリツなど=SMBC日興
SMBC日興証券は29日付のクオンツリポートで、日経平均株価採用銘柄であるNTTドコモが上場廃止となる場合、代替銘柄の採用が必要になると指摘。代替候補としてローム(6963)やアンリツ(6754)を挙げ、各採用候補銘柄の売買インパクトを下記の通り、推計した。
なお、SMBC日興はNTTドコモのみなし額面調整株価が300円程度であることから、値がさ株は採用されにくい可能性があるとの見方も示している。
▼技術セクターにおける日経平均未採用銘柄のうち、流動性順位が高い銘柄(SMBC日興調べ)
コード | 銘柄名 | 流動性ランキング | 売買インパクト(日) |
6723 | ルネサス | 39 | 0.4 |
6981 | 村田製 | 114 | 42.4 |
6740 | JDI | 132 | 4.0 |
6753 | シャープ | 164 | 12.1 |
6754 | アンリツ | 181 | 16.2 |
6963 | ローム | 188 | 44.5 |
7259 | アイシン精 | 218 | 39.2 |
7701 | 島津製 | 232 | 46.9 |
4528 | 小野薬 | 248 | 166.9 |
6448 | ブラザー | 265 | 38.5 |
■候補は6銘柄=JPモルガン
JPモルガンは29日付リポートで、日経平均株価採用銘柄であるNTTドコモが上場廃止となった場合の代替銘柄として、下記の6銘柄を採用候補に挙げた。
コード | 銘柄名 | 買入株数(百万株) | 買入インパクト (1日平均売買高比) |
6753 | シャープ | 24.96 | 948% |
6740 | JDI | 24.96 | 303% |
6963 | ローム | 24.96 | 3498% |
6754 | アンリツ | 24.96 | 1389% |
6981 | 村田製 | 74.89 | 3432% |
7259 | アイシン精 | 24.96 | 2934% |
■村田製やロームなど=大和証
大和証券の橋本純一シニアクオンツアナリストは29日付リポートで、NTTとNTTドコモはいずれも日経平均株価採用銘柄であることから1銘柄の空きが生じることになると指摘し、現時点に採用候補として、村田製作所(6981)、ローム(6963)、アイシン精機(7259)、島津製作所(7701)を挙げた。
▼採用候補
コード | 銘柄名 | 買入株数(千株) | 買入インパクト(日) |
6981 | 村田製 | 76,785 | 36.68 |
6963 | ローム | 25,595 | 43.61 |
7259 | アイシン精 | 25,595 | 31.63 |
7701 | 島津製 | 25,595 | 34.92 |
(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
<金融用語>
みなし額面とは
株式の額面制度は2001年の商法改正で廃止されたが、現在も株価形成には旧額面が反映されており、個々の銘柄によって50円、500円、5万円などそれぞれ株価の水準が異なる。日経平均株価の算出の際には、株価水準を調整するため、旧額面50円以外の銘柄をみなし額面50円に換算したうえで計算される。