2020年度上期(4~9月)、世界の株価指数の騰落率を比較したところ、東証マザーズ指数の上昇率が98%に達した。主要国では2割前後の上昇となるケースも多く、マザーズの健闘が目立つ。新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の落ち込みは向かい風となったが、各国・地域の中央銀行が大規模な金融緩和を展開したことが世界の株価を押し上げ、特に新興市場が資金を集めることとなった。
■BASEは9倍
マザーズが奮闘した。コロナ禍でも成長が期待できる新興のIT(情報技術)関連銘柄が多いことを追い風に急騰した。電子商取引(EC)のプラットフォームを手掛けるBASE(4477)は株価を約9倍にした。夏ごろからは新規株式公開(IPO)が再開し、初値が公開価格を大きく上回る銘柄が多かったことも指数の上昇に寄与した。
日経平均株価は30日時点で23%上昇し、主要国の上昇率とほぼ同水準だった。ただ東証株価指数(TOPIX)でみると16%の上昇にとどまる。日本株には出遅れ感もある。
ナスダック総合株価指数も4割上昇した。テスラ(TSLA)は4倍、アップル(AAPL)は8割上昇と、大型のハイテク株がけん引する格好となった。
■「株価は下がりにくい」
米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)、日銀などは市場にマネーを供給し、実体経済の底割れ回避を目指した。株式市場に大量の資金が入り込むことになり、「株価は下がりにくい」というマインドが投資家のリスク許容度の改善につながっている。その上で、デジタル関連などコロナ禍をきっかけに成長期待が高まる企業への注目度が高まった。この流れは次の半年間でも続く可能性が高い。
3月31日からの騰落率を試算した。日本は9月30日、海外の相場は29日までで算出した。〔日経QUICKニュース(NQN) 寺沢維洋〕