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「大豆価格は上昇~投機的な下落リスクは年後半に」―マーケット・リスク・アドバイザリー・新村氏

今年の3月から4月頃にかけてはコロナウイルスの影響による経済活動の鈍化や、米国産大豆の中国向けの輸出が停滞するとの見方から低迷していた米国産大豆価格だが、足元急騰しており、この5年の同時期の過去最高水準を上回る上昇となっている。

■中国向け輸出の好調

9月末時点で米国の大豆四半期在庫が発表されたが、市場予想が5億7,838万ブッシェルのところ5億2,300万ブッシェルと予想を下回った。米国からの大豆輸出が高水準を維持しており、週間の輸出量は同じ時期の過去5年の最高水準に達している。中国向けの大豆輸出が好調であることによるものだ。しかし、中国の大豆輸入増加は、中国の国内で豚熱の影響で減少した豚の肥育頭数が回復していること、大豆の輸入減少で食用の大豆油が不足していることに対応するためのものであり、正直、米国との通商合意順守を目的としたものではないと見ている。

■中国側の事情

ただ、自国の米国からの農産品輸入を増加させることで、付加的に米大統領選挙に向けてトランプ大統領を支援する(農家はトランプ大統領の票田の1つ)ことを目的にしている可能性もある。今のところ、国際協調路線を取り、より中国に組織的に圧力をかけてくると見られるバイデン候補よりも、同盟国との関係を困難なものにし米国を弱体化させる可能性が高いトランプ大統領を中国が望んでいる可能性はあるのではないか。また、仮にバイデン候補が勝利したとしても、「約束した時よりも農産品の価格が下落したので、目標は達成できなかったが、中国は米国との取り決めを順守する努力をしている」と説明できるように実績を作っているともいえる。いずれにしても、ブラジルの輸出が季節的に減少する中、中国側の事情で米国産大豆の中国向け輸出は増加すると予想される。

■大豆の見通しは強気

先月発表された米農務省の需給報告では、2019-2020年の生産がエルニーニョの影響による冬場の大雪、それに伴う土壌環境の改善が遅れたことにより、生産が前年から減少(▲238万トン)したことが影響し、2020-2021年の期初在庫が▲91万トン減少したこと、輸出需要が121万トン増加したことなどを受け、米国産大豆に対する説明力が高い大豆の需給率(需要÷供給)は90.6%(前月80.5%)に上昇すると見込まれている。これは、直近5年で価格が上昇した2017-2018年に次ぐ水準である。本稿執筆時点で、大豆価格の年初来平均価格は892セントであるが、需給率を参考にすればまだ上昇余地があることになる。直近10年のデータを元にすると、1,100セント程度までの上昇があってもおかしくない。また、バイデン氏が大統領選挙に勝利した場合、バイオ燃料向けの需要が増加する可能性もあるため、比較的大豆の見通しは強気である。

※大豆先物の推移
※大豆先物の推移

しかし、ここまでの価格上昇は投機のショート買戻しと、新規のロング積み上げによるところは大きい。特にこの時期としては投機のロングポジションの水準は高く、大豆価格が高値圏にあることを考えると、調整売り圧力が強まってもおかしくない状況である。となると、11月のファンド決算のタイミングなどで手仕舞売りに押される可能性は十分にあり得る。投機筋のポジションが、「価格下落方向」への感応度が高い状態にあることは要注意だ。

新村 直弘(にいむら なおひろ)氏
東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月に企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。また日経新聞や週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済等のメディアにも多数寄稿。著書に「調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門」、「天候デリバティブのすべて」「コモディティデリバティブのすべて」がある。

著者名

マーケット・リスク・アドバイザリー 代表取締役 新村直弘

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