金融庁は8日夜、「つみップ(つみたてNISA Meetup)オンライン」を開いた。「つみップ」はつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)に関する意見交換会で、投信ブロガーや個人投資家との交流の場として金融庁が随時開催している。今回は40代の投資初心者向けで、全国から50名超が集まった。
■日経新聞の田村氏「年金は長生きリスクに備える保険」
前回は9月24日に開催したばかりで、20~30代向けの内容だった。資産運用・資産形成への関心が高まるなか、開催頻度を増やしている。40代向けの今回もメールで事前に参加者を募り、ビデオ会議システム「Zoom」を利用して実施した。冒頭に金融庁がプレゼンテーションし、この年代を取り巻く特有の環境やNISA制度の利用状況などを説明した。
続いて日本経済新聞の田村正之編集委員が「人生100年時代の年金と資産運用戦略」について講演。前半で資産運用を考えるうえで欠かせない年金や社会保障制度について詳しく解説した。「年金は長生きリスクに備える保険だ」とし、夫婦であれば共働きとして長く働き続けることで老後に受け取る厚生年金を増やすことができると語った。
後半は資産運用についての内容で、「世界の経済成長を享受するためには、世界全体に投資してマーケットに居続けることが大切」と述べた。長期・積み立て・分散投資は、働いている世代にこそ有効であるとし、全世界の株式で運用するコストの安いインデックス投資での積み立てを推奨。さらに、投資に踏み出すには「勉強してから始めなくてはと思わなくていい」と指摘した。
■次回は大学投資サークルと共同開催、来週13日に
意見交換・質疑応答のコーナーでは、Zoom内のチャットで参加者から質問や意見を受け付け、「iDeCo(個人型確定拠出年金)とつみたてNISAはどちらを優先して使えばよいか」、「資産運用の出口戦略をどうすればいいか」、「子どもへの金融教育も考えないといけない世代。社会保障制度や資産形成について学校教育に取り入れてほしい」などの声が集まった。
次回の「つみップ」は来週13日夜にオンラインで開く予定。大学投資サークルが集う団体「USIC」と共同開催する。
◇金融庁「つみたてNISA Meetup(つみップ)」のサイト
田村正之(たむら・まさゆき)氏
日本経済新聞編集委員。著書に「人生100年時代の年金戦略」「税金ゼロの資産運用革命」「老後貧乏にならないためのお金の法則」(いずれも日本経済新聞出版)、「青い約束」(田村優之の筆名で、ポプラ文庫)など。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)