ソニー(6758)が10月28日にオンラインで開いた2020年4~9月期(第2四半期)連結決算の説明会では「ゲーム」「鬼滅の刃」「ストリーミング」などが焦点になっていたことがわかった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年4~9月期は、売上高および営業収入が前年同期比で1%増の4兆824億円、営業利益が同7%増の5461億円だった。十時裕樹副社長兼最高財務責任者(CFO)は、新型コロナウイルスの感染拡大や地政学リスクが高まるなか「多様な事業ポートフォリオが当社のレジリエンス(強じんさ)を高めている」と強調し、新たな事業拡大の機会につながるとの認識を示した。
巣ごもり需要で大きな恩恵があったゲーム&ネットワークサービス事業は、売上高が前年同期比22%増の1兆1127億円、営業利益が同65%増の2289億円と大幅増益だった。自社制作タイトルの「ゴーストオブツシマ」の大ヒットや、ネットワークサービスのプレイステーションプラス会員数の増加がけん引した。9月のプレイステーションユーザーの総ゲームプレイ時間が前年同期比約30%伸びており、巣ごもり需要が下期にかけても継続するとの見方を示した。
音楽分野もストリーミングサービスの売り上げ増加や米津玄師の音楽アルバムの大ヒットで増収増益だった。傘下のソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるアニプレックスが制作配給に関わった劇場版「鬼滅の刃無限列車編」が公開10日で興行収入100億円を突破したことにも触れた。先行きに関しても世界的なアニメ配給会社の米ファニメーションなどを通じ「海外でも配信され大きな人気を博している」(十時副社長)と、エンターテインメント事業間の相乗効果に期待を寄せた。
一方、半導体イメージセンサーなどのイメージング&センシング・ソリューション分野は売上高が前年同期比5%減の5132億円、営業利益が同40%減の752億円と振るわなかった。米国の輸出規制による中国ファーウェイ(華為技術)向けの高付加価値品の出荷停止による影響が大きかった。
アナリストやマスコミの質問では半導体イメージセンサーの事業戦略に改めて強い関心が集まった。十時副社長は、21年はシェアの奪回を主眼に、低価格の汎用品の数量増を優先して顧客基盤を広げるとともに高付加価値品も訴求し「両面において22年に向けての事業基盤を整えていきたい」との戦略を示した。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)