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任天堂決算、アナリストはこう見る 「なお業績上振れ余地」「来期も期待続く」

あつもりパッケージ
(c)2020 Nintendo

任天堂(7974)は11月5日、2021年3月期の連結決算で純利益が前期比16%増の3000億円になりそうだと発表した。従来予想(23%減の2000億円)から上方修正し、一転して増益となる。新型コロナウイルス禍の「巣ごもり」需要で家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」とソフトウエアの販売が伸びたというが、今後の見通しはどうか。市場関係者に話を聞いた。

■業績の上振れ余地残る クリスマス商戦に期待も
 安田秀樹・エース経済研究所シニアアナリスト

任天堂は21年3月期の連結営業利益の見通しを前期比28%増の4500億円(従来予想は3000億円)に上方修正した。市場予想平均であるQUICKコンセンサスの4761億円(10月22日時点、20社)には届いていないが、この会社予想を額面通りに受け止める市場参加者は少ないだろう。一段の上方修正期待が残り、6日は任天堂株に買いが入りそうだ。

4~9月期の販売実績も1253万台と前年同期比8割増と好調だ。21年3月期の販売台数の予想を従来の1900万台から2400万台に修正している点も評価できる。10~12月期はクリスマス商戦の時期にあたり、家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売は会社予想を超えて伸びる可能性が高い。

ソニー(6758)の家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」の発売を12日に控え需要の一部が流れるとの指摘もあるが、心配していない。テレビの普及率が低下している足元の状況では、「PS5」と比べてテレビを必要としない「ニンテンドースイッチ」の競争力が衰えることはない。新型コロナウイルスの感染拡大が21年3月末まで続くとの前提にたてば巣ごもり需要を取り込み続け、株価は9月に付けた年初来高値(6万1300円)を上回って推移していくだろう。

■上方修正も依然保守的 ソフト好調で来期も期待続く
 窪田真之氏・楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト

任天堂は従来減益を見込んでいた21年3月期の純利益見通しを上方修正し、一転増益になりそうだと発表したが、依然として保守的な予想だとみる。足元では巣ごもり消費の拡大でゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が伸びたことに伴い、「マリオカート8デラックス」など過去に発表したソフトにも再び注目が集まり、業績の改善に寄与している。

22年3月期以降の業績について、一部では巣ごもり需要の剥落を警戒する向きもあるが、スイッチを軸にしたゲームサイクル(ゲームの人気期間)の長期化を背景に、ソフトがけん引する形で引き続き増益が期待できる。足元の好調な決算や増配の発表もあり、中長期的な株価の上昇余地は大きいだろう。〔日経QUICKニュース(NQN) 池田幹、寺沢維洋〕

 

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 池田 幹

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 寺沢 維洋


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