Zホールディングス(4689)が10月30日にオンラインで開いた2020年7~9月期連結決算(国際会計基準)の説明会では「GoTo」、スマートフォン決済アプリの「PayPay」、「広告」などが焦点になっていた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年7~9月期は、売上高に相当する売上収益が前年同期比15%増の2833億円、営業利益が同21%増の476億円と増収増益だった。
ネットとリアルをつなぐO2O(オンライン・トゥ・オフライン)事業で、旅行予約サービスの「一休.com」「Yahoo!トラベル」などが急回復した。政府の観光支援策「Go To トラベル」が追い風になった。7~9月期の取扱高は前年同期比53%増と4~6月期の同56%減から大きく改善した。
EC(電子商取引)も巣ごもり消費やZOZOの連結子会社化などで7~9月期の取扱高は同30%増えた。「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」は新規の利用者や新規出店の申し込みが大幅に伸びた。
キャッシュレスサービス、「PayPay」の7~9月期の決済回数は前年同期比5.1倍の4.8億回、加盟店数は同1.7倍の256万カ所と成長が加速している。ヤフーのEC利用や同社のクレジットカードを決済に使うなどの条件で最大20%のポイントを付与する取り組みも奏功した。
川辺健太郎社長兼最高経営責任者(CEO)は、「不透明なコロナ禍のなかでポートフォリオ経営をこのような形で展開していけば、きちんと事業を成長させ増収増益も果たせる」と胸を張った。
経営統合を進めているLINEについては8月に公正取引委員会における企業結合審査が完了したという。21年3月の経営統合の完了を目指して順調に進捗しているとし、川辺社長は「経営統合に特に何らの支障もございません」と自信を見せた。
アナリストやマスコミの質問では苦戦している広告事業に集まった。検索広告では、広告主の出稿減少が続いている。坂上亮介常務兼CFO(最高財務責任者)は「旅行業界については引き続き非常に弱い。GoToトラベルの影響などで回復基調ではあるものの去年より弱い」と説明した。人材業界は「回復しているが、去年よりはマイナス」と話した。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)