ソフトバンクグループ(9984)が11月9日にオンラインで開いた2020年4~9月期連結決算(国際会計基準)の説明会では「進化」「AI(人工知能)」「推論」などが焦点になっていたことがわかった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
孫正義会長兼社長は説明会の冒頭、人類の乗り物の進化を振り返った。「5000年(前)の馬車、100年の自動車、そして今から数年先に始まるAIによる完全自動運転の世界が目の前に迫っている」と指摘し、「時代の進化にわくわくする」と急速な技術開発のスピードへの期待を強調した。
2020年4~9月期の連結純利益は1兆8832億円と前年同期から4.5倍の増益となった。孫氏は「情報革命への投資会社」から「AI革命への投資会社になる」との決意を示し「NAV(Net Asset Value、株式時価純資産)です。この一点だけがソフトバンクの業績の結果を表す物差しである」と従来の経営指標にこだわらない姿勢を強調した。
孫氏は保有株式の時価から純負債を差し引いたNAVが株主価値と同義であるとの認識を示し、「投資会社であるから保有している株から借り入れを差し引く、これが時価の純資産だ」と指摘した。増えたか減ったかが「投資会社として実績を測るべき物差し」だとしたNAVは、9月末で27兆円と6カ月間で5.6兆円増えた。
孫氏は「人類の未来はAIにある」と強調。コンピューターの進化の段階は「計算・記憶・検索」からAIによって「理解」「推論」「創造」へと加速していると説明した。「推論」に使われるCPU(中央処理装置)、GPU(画像処理装置)などの性能の進化と学習アルゴリズムの効率化により、「10億枚(の画像)を解析するのに100万円かかっていたのが、(19年までの)2年間で3円になった」として、自動運転や住宅売買、デジタル医療、新素材開発などあらゆる分野でAI革命が進むとの見通しを示した。
アナリストやマスコミの質問では最近同社が始めた上場株投資にも関心が集まった。孫氏は「AI革命は未上場の会社だけではなく、上場会社もこれからどんどん進む。AI革命の本命中の本命は、実はGAFAにありと思っている」と上場株への投資の意義を強調し、「アリババ集団に偏り過ぎているところを改善したい」とも付け加えた。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)