【NQNニューヨーク 川内資子】バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が11月17日に発表した11月の機関投資家調査(6~12日実施)によると、多くの投資家が世界経済の回復を見込み、リスク選好姿勢を強めていることが明らかになった。現金比率を減らす一方で株式保有は増やし、投資家は「今年最高の強気」(バンカメ)に傾いている。
■現金保有率の低下ペースが過去最速
投資家の保有資産に占める現金の保有率は4.1%と10月(4.4%)から低下した。米国での新型コロナウイルスの感染拡大前の1月(4.2%)を下回り、経験則的に「リスク資産の売りのサイン」とされる4%以下に近づいた。現金保有率はここ7カ月で1.8%ポイント低くなり、低下ペースは過去最速という。
株式保有を当初設定した配分を上回る「オーバーウエート」とした投資家の比率から、下回る「アンダーウエート」とした投資家の比率を引いた値は46%に上昇。2018年1月以来の高水準となり「極度に強気な状態」とされる50%以上に近づいた。国債の利回り曲線の傾きが急になるとの予想は差し引き73%と過去最高となった。
世界経済や企業収益への楽観が背景にある。今後1年で世界経済が「力強さを増す」と予想する投資家から「弱含む」と予想した投資家を引いた値は91%と02年3月以来の高さとなった。企業収益が改善するとの回答も差し引き84%と02年3月以来の高さだった。
■小型株とバリュー株に注目
投資先では小型株とバリュー(割安)株への志向が強まっている。小型株の運用成績が大型株を「上回る」と予想する比率から「下回る」と予想する比率を引いた値は21%と過去最高だった。同様にバリュー株がグロース(成長)株を「上回る」から「下回る」を引いた値は24%と、19年2月以来の高さとなった。
確率は低いが発生すると影響が大きいテールリスクは「コロナ感染の第2波」が41%と前月(34%)から上昇し、首位を維持した。2位は「IT(情報技術)バブル(の崩壊)」がだった。最も込み入った取引は「米ハイテク株の買い」が首位を保ったが、比率は過去最高だった9月から低下傾向にある。
<金融用語>
テールリスクとは
テールリスクとは、まれにしか起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスクのことであり、通常は大幅下落するリスクを指す。テールとは騰落率分布の端や裾野を意味する。株式市場など金融市場の値動きの価格変動リスクは、一定間隔で測った過去の騰落率のバラツキ(散らばり方)度合いを示す標準偏差の大きさで表すのが一般的である。この際、計測した騰落率のバラツキ分布は平均を軸とした左右対称な釣り鐘状の正規分布に従うと仮定すると、確率的には「平均±1標準偏差」の間に全体の68.27%、「平均±2標準偏差」の間に95.45%、「平均±3標準偏差」の間に99.73%が収まるという意味合いを持ち、2標準偏差や3標準偏差を超えるような大きな変動が発生する確率はかなり低い。 ところが、日経平均株価の価格変動リスクを年率20%(月間に換算すると約6%)とし、月次騰落率の平均をゼロとした場合、「平均-2標準偏差」は1ヵ月間でマイナス約6%。2008年の金融危機発生の際には、日経平均は9月の1ヵ月間で約14%下落、10月は約24%下落し、2標準偏差を超すような大幅下落が続いた。