【QUICK Market Eyes 片平 正二】25日の米国市場でビジネス対話アプリを手掛けるスラック・テクノロジーズ(WORK)が急反発し、前日比37.59%高の40.70ドルで終えた。一時は2019年6月20日以来、1年5カ月ぶりの高値水準まで上昇した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)電子版が25日、「セールスフォース・ドットコム(CRM)がスラックの買収協議を進めている」と報じたことで思惑買いが殺到した。報道によればセールスフォースは12月1日に決算を発表する予定のため、決算に合わせて発表される可能性があるという。スラックは25日朝の時点で時価総額が170億ドル規模で、セールスフォースにとって過去最大の買収案件になるというが買収が合意する保証はないとのこと。セールスフォースは5.37%安で終え、合併・買収(M&A)アービトラージの動きで買収企業を売り、被買収企業を買う展開となった。
セールスフォースは過去にツイッター(TWTR)を買収するのではないかと報じられるなど、成長のためにM&Aを活発化させるとみられていた。報道を受け、ゴールドマン・サックスは25日付のリポートで「マイクロソフト(MSFT)がオフィス365の広範なパッケージを活用してチームの採用を促進し、競合状況が高まっていることを考慮すると買収策の可能性には戦略的メリットがある」と指摘。買収の際には現金と株式を活用すると見込まれるとしつつ、セールスフォースの投資判断を買い(バイ)、目標株価275ドルを維持していた。