【NQN香港 川上宗馬】異例の大接戦となった米大統領選やアリババ集団傘下の金融会社アント・グループが突然の上場延期となるなど、11月のアジア株式市場の立ち上がり時期は先行きが見通しにくい状況だった。しかし、新型コロナウイルス向けワクチンの開発進展や米国政治を巡る不透明感が弱まり、米国株式相場が大幅高となると、アジア市場にも徐々に買いが波及した。韓国や台湾の株価指数が過去最高値を更新するなど、終わってみれば記録ずくめの11月となった。
<11月の主なトピック>
韓国市場 | 月間上昇率 |
総合株価指数(KOSPI) | 14.3%(01年11月以来の大きさ) |
・27日に過去最高値を更新 ・24日にサムスン電子が上場来高値 |
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台湾市場 | 月間上昇率 |
加権指数 | 9.4%(今年4月以来) |
・23日に過去最高値を更新 ・17日に台湾積体電路製造(TSMC)の株価が初めて節目の500台湾ドルを突破し、上場来高値 |
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香港市場 | 月間上昇率 |
香港ハンセン指数 | 9.3%(18年1月以来) |
・30日の終値は2万6341 27日に2月21日以来およそ9カ月ぶりの高値 | |
中国・上海市場 | 月間上昇率 |
上海総合指数 | 5.2%(今年7月以来) |
・30日の終値は3391 30日の取引時間中に8月18日に付けた終値ベースの年初来高値(3451)を超える場面も |
韓国・総合株価指数(KOSPI)と台湾・加権指数が過去最高値を更新した。米株高に歩調を合わせ、韓国サムスン電子や台湾TSMCなど主力のハイテク株に買いが入り、相場をけん引した。
香港市場では、コロナ禍での景気悪化を受けて低迷していた金融や石油、不動産株の上昇が目立った。中国・上海市場では、上海総合指数が節目の3400近辺での推移を続け、8月18日に付けた終値ベースでの年初来高値に迫っている。
11月はワクチン開発の進展や米国での新政権移行が円滑に進むとの期待から、世界的に運用リスクをとる姿勢が強まった。さらに7~9月期の決算発表が一巡したアジア市場では、「コロナ禍で回復が遅れていた企業の業績も予想を上回る結果を示し、そうした銘柄ほど買われる流れになった」(三井住友DSアセットマネジメント香港の橋爪謙治シニアファンドマネージャー)。
韓国や台湾など北東アジア地域の企業は半導体関連を中心に、今後も堅調な業績が見込まれる。「12月のアジア株式相場は短期的に上値が重い展開になるだろうが、21年に向けて景気回復が一段と鮮明になる流れは変わらない」(橋爪氏)との見方が広がっている。