【QUICK Market Eyes 大野弘貴、川口究】米国株の勢いが止まらない。1日にはS&P500種株価指数が最高値を再び更新した。2021年はどこまで上がるのか。ストラテジストからは相変わらず強気の声が漏れている。
■21年末のS&P500は3900と予想、株・クレジットをオーバーウエート=モルガン
モルガン・スタンレーは11月30日付のグローバル・ストラテジー見通しで、新型コロナ・リセッションからの世界経済回復は「普通」のリセッションからの回復と大筋で変わらず、持続可能であるだけでなく、各国政府の政策によって支援されると指摘。これら背景から、国債と現金に対して株式とクレジットをオーバーウエートとするほか、ドル売りを選好するとのビューを示した。
グローバル株式は2021年末まで、すべての主要市場の1株利益(EPS)が25~30%増、トータルリターンは2ケタ台の伸びを示すとの予想も示されている。
また、いずれの主要市場でもシクリカル株をオーバーウエート、ディフェンシブ株をアンダーウエートとするスタンスも選好している。
21年末のS&P500種株価指数については3900が予想された。
■S&P500は今後12カ月間で3933に、11月SSI結果より=BofAセキュリティーズ
BofAセキュリティーズは1日付リポートで、ウォール街のストラテジストの株式に対する強気・弱気を示す「セル・サイド・インジケータ―(SSI)」から今後12カ月間の収益率がプラス10%になることが見込まれると指摘。S&P500種株価指数の配当利回りは1.6%であり、12カ月の値上がり率がプラス8.6%、指数の水準が12カ月で3933に達することを意味するという。
SSIは11月に57.8%と10月の57.0%から大きく上昇した。センチメントの上昇により、18カ月ぶりの高水準となっている。この水準は株式に対するセンチメントが、強気市場の終わりに通常見られるレベルにまだ達していないことを示しているという。今の水準では、その後の12カ月間の収益率は93%の確率でプラスであり、12か月の収益率の中央値はプラス17%だ。
レポートではSSIについて、「SSIは、各月の最終営業日におけるウォール街のストラテジストの平均推奨株式配分に基づいている。ウォール街のコンセンサスによる株式配分は、信頼できる相反指標である。言い換えれば、これは歴史的にウォール街が極端に弱気であった時には強気のシグナルであり、その逆も言える」と指摘した。
<金融用語>
シクリカルとは
シクリカルとは、英語表記はCyclical。循環的な景気変動のこと。代表的なものに、景気の回復、拡大、後退、悪化が繰り返し表れるビジネスサイクルがある。株式市場において、景気の変動によって上昇したり下落したりする銘柄をシクリカル銘柄(景気敏感株)という。