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堅調な粗糖価格の調整リスク―マーケット・リスク・アドバイザリー・新村氏

ICE粗糖価格は今年の春先に大きく上昇し、新型コロナウイルスの発生によるロックダウンでその他の商品と同様、大幅に水準を切り下げる動きとなっていた。しかし、4月を底に価格は上昇に転じ、現在は15セント/ポンド程度でもみ合い推移している。米農務省の見通しでは2019-2020年はエタノール生産の増加や天候要因で粗糖生産が減少したため、生産見通しは1億6,618万トン(前年比▲1,348万トン)と大幅な減少となる見込みであり、需給バランスも▲614万トンの供給不足が見込まれているためだ。一方、需要は国内需要/輸出需要とも大幅に減少するため、全体では2億2,644万トン(▲300万トン)と減少が見込まれている。多くの農産品は需要を供給で割った需給率の価格に対する説明力が高く、粗糖も同様に高い相関性が確認されている。この手法を用いて1月のこのコラムで粗糖価格の推定を行い、2020年の価格予想は平均価格ベースで13.5セント程度になるとみていたが、現在の価格水準が続けば恐らく13セント程度と、ほぼ予想通りの水準となる見込み。

※
※ICE粗糖価格の推移

■来年の粗糖平均価格予想は16.8セント

2020-2021年については、生産が1億8,808万トン(+219万トン)と大幅に回復するため、期初在庫の減少(▲955万トン)と、輸出需要の回復(+1,111万トン)はあるものの、全体の需給バランスは再び954万トンの供給過剰に転じる見通しである。しかし、期初在庫の減少で需給率(需要÷供給)は84.8%に上昇すると見込まれており、同様の分析を行うと来年の粗糖平均価格は16.8セントと、現在の水準よりもかなり高い水準での推移になることが予想される。

現在の価格上昇はこの1月に分析を行った時と異なり、インドの輸出補助金の支払いの遅れや、異常気象の発生に伴う乾燥気候が主要生産国の生産を下振れさせたことによるものであり、分析の結果得られた予測数値は結果的に「供給途絶リスク」を織り込んだ水準になっているといえる。エタノール向けの需要は輸送需要の回復が緩慢であるため、それほど増加するとは考え難く、16.8セントも何らかの供給減少を織り込んだ価格水準になっている、と考えるのが妥当だろうか。ラニーニャ現象が発生し、サトウキビ生育に好ましくない状況が報告されているため、2021年にかけて粗糖価格は高値圏を維持するのではないか。なお、今のところ主要用途の1つであるエタノール向けの需要はコロナからの回復で旺盛と見られ、エタノール価格も3月以来上昇し現在も高値水準を維持、今のところ需要面も堅調である。

■相場を下げる可能性に警戒

しかし、コロナウイルスの感染は世界で再び拡大、特に欧米の感染拡大が深刻で、エタノール向けの需要が減少し、粗糖生産が想定以上に増加し、需給率を押し下げる可能性は十分に想定される。また、投機筋のポジション動向を見てみても、ロングポジションが過去5年の最高水準に達している一方で、ショートポジションは記録的に低い水準となっている。投機筋は強気のポジションを保有しているわけだが、ロングポジションの積み上がりとショートポジションの減少は、弱気材料が出てきたときに大きく相場を下げる原動力となり得るものだ。特段大きなイベントがなかったとしても、粗糖価格が高値を維持する中では生産者側がエタノールから粗糖に生産をシフトさせることも予想され、特に、ロックダウンが再び本格化する可能性があるこの冬場に、相場水準が大きく切り下がる(※)可能性は警戒すべきだろう。

※ 日本では国内のサトウキビや甜菜の生産安定の観点から、輸入粗糖に対して調整金(農畜産業振興機構が精製糖企業から、国産精製糖販売価格から輸入平均価格を差し引いたもの)を課し、甘味資源作物生産者・国内産糖製造事業者に対して交付金を交付している。そのため、国際価格と国内価格が必ずしも同じ動きとならない点は注意。

新村 直弘(にいむら なおひろ)氏
東京大学工学部精密機械工学科卒。日本興業銀行入行、バークレイズ・キャピタル証券、ドイツ証券を経て2010年5月に企業向け価格リスク制御のアドバイスを専業とする株式会社マーケット・リスク・アドバイザリーを設立。テレビ東京やNHK、日経CNBC等でコメンテーターを務める。また日経新聞や週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済等のメディアにも多数寄稿。著書に「調達・購買・財務担当者のための原材料の市場分析入門」、「天候デリバティブのすべて」「コモディティデリバティブのすべて」がある。

著者名

マーケット・リスク・アドバイザリー 代表取締役 新村直弘

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