【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】印刷・物流サービスのラクスル(4384)が12月10日にオンラインで開いた2020年8~10月期の決算説明会では「粗利益」「成長」、主力の印刷通販サイトの「ラクスル」などに話題が集中した。説明会の内容をテキストマイニング(※)して分析した。
松本恭攝社長兼最高経営責任者(CEO)は「印刷、広告、物流といったデジタル化が進んでいない産業にインターネットを持ち込んで、産業構造を変えていく」という会社の目的を改めて説明し、中長期ではほかの産業分野にも展開していく方針を示した。
ラクスルは印刷通販のラクスル、テレビCMの運用型広告プラットフォームの「ノバセル」、荷主とトラック運転手のマッチングサービス「ハコベル」を手掛けている。各産業で広い顧客基盤を持ち継続利用する顧客による売り上げ比率が高い事業で、粗利率(売上高総利益率)の改善が継続しているしているのが強みだという。ノバセルとハコベルではSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)形式でのサービスを開始した。
新型コロナウイルスの影響を受けた20年7月期を含む過去5年間の売上高成長率は年平均43%と高水準だった。売上高と粗利益の成長率を重視し、「営業利益として出せる部分を再投資に振り向けることによって、売り上げの成長と売上高総利益の成長を実現していく」と松本CEOは強調した。
20年8~10月期決算は売上高が前年同期比11%増の59億円と四半期ベースで過去最高だった。粗利率は25.3%と3.4ポイント改善したうえ、販管費の増加が限定的だったこともあって営業損益は6600万円の黒字(前年同期は4300万円の赤字)に転換した。主力のラクスルの成長が続いたほか、ノバセルやハコベルも堅調で永見世央最高財務責任者(CFO)は「複数の事業が多層的に収益貢献している望ましい状況」と述べた。
アナリストやマスコミの質問ではコロナ禍のラクスル事業の環境に関心が集まった。松本CEOは「新型コロナの影響で印刷業界の全体の需要は減少傾向だが、Eコマースの市場はフラットな状況」と説明。「競合に比べ早いタイミングで大規模なマーケティングに踏み込んだ」うえ「これまで伝統的な印刷会社を使っていた方でも使いやすいサービスを設計していた」ことが相まって成長につながったとの認識を示した。商材別では、在宅時間の増加でダイレクトマーケティングに注力する企業が増えているポスティングチラシなどが伸びていると回答した。